CPAよりも、ターゲットユーザーに訴求できたかを評価したい
冒頭で触れたように、ブランドサイトでは広告のゴールをどこに設定すれば良いのか、明確なラインを引きにくい。無料サンプルの申込数やFacebookの「いいね!」数、Twitterのフォロワー数でCPAを計測するといった手もあるが、「CPAで計測するのは重要だが、CPAが悪くてもサイト内での動線が長いユーザーもいる。CPA以上に獲得したいユーザーにリーチできたかが重要」と本間氏は問題意識を語る。
「お客様のステージが変わるのはどこなのか。実際、ゴール設定には悩んでいます。仮説を立ててゴール設定を変えながら評価し、改善を続けているのが現状です。ただ、徐々に好転の兆しが現れてきました。従来、ターゲットになるユーザー像を1つだけ設定していたのが、複数のターゲットを設け、各ターゲット別にゴールを設計するように事業部側が変わってきています」
また、同社では広告効果を測定したデータを社内で利用するだけではなく、広告代理店などの各パートナーとのアドエビスのアカウント共有を進めている。パートナーが知り得なかった社内データまでオープンにすることで、目標を達成するためにはどうすればよいか、同じ視線で一緒に考えられる環境が整ってきているようだ。
「同じデータを見ながら話すことによって、問題点や成果が出た時の知見の共有がスムーズにできるようになります。コンテンツ制作をお願いしているパートナーさんは、制作をやればやるほど、どこが良くてどこが予想に反したのかを知りたくなるはず。広告については、広告代理店の方々のほうがいろいろと仮説をお持ちなので、同じ数字を使うことでさらに仮説を引き出せるのではないかと考えたのです」(本間氏)
「好き」になってくれるユーザーと好かれるポイントをネット広告から探す
アドエビスを導入し、「ユーザーがどのような検索ワードからブランドサイトに訪れているのか」といったデータにも目を向ける時間が取れるようになったことで、Web作成部から事業部側に商品開発やプロモーションの企画立案に役立つデータをフィードバックできるようにもなってきた。
ユーザーはどのようなワードで検索してブランドサイトにたどり着いたのか。どんなワードから入ってくるユーザーがロイヤルユーザーになってくれるのか。各ブランドがターゲットにすべきユーザー像を把握するテストマーケティングの機能を果たせるようになりつつある。
「マーケティングは恋愛に似ていて、付き合いたい異性をブランド担当者は最初に想定しています。でも、『好き』と言ってくれる人は別のタイプだったというのは、よくある話。その意味で、インターネット広告は『好き』と言ってくれる人を探す上ですごく良いツールではないでしょうか。しかも『好き』になってくれるポイントも違います。『汚れが落ちる』から好きになってくれるのではなくて、『匂いが気持ち良い』から好きになってくれるのかもしれません。
お客様が誰で、なぜ商品を好きになってくれるのかテストマーケティングできる機能があるわけですから、そんなデータまでフィードバックできるようになれば、事業部にも喜んでもらえると思うのです」(本間氏)