ゴールを設定しづらいブランドサイト ― 広告効果の計測をどうする?
会員登録や商品購入といったゴールが明確なサイトがある一方、EC機能を持たない消費財メーカーのブランド訴求用サイトなど、広告のゴールを設定しづらいサイトもある。
日本のインターネット広告費は2010年、7747億円に達した。新聞(6396億円)・雑誌(2733億円)・ラジオ(1299億円)を抜き、インターネットがテレビ(1兆7321億円)に次ぐ広告媒体となっている現在、後者のようなサイトを運営する企業でも、インターネット広告に費やす金額はかなりの規模になっている。そのような状況下、後者のようなサイトを持つ企業はどのように広告効果を計測しているのだろうか。
洗剤の「アタック」、特定保健用食品の「ヘルシア」、スキンケア用品の「ビオレ」など、58ものブランドサイトを運営する花王株式会社は、広告効果測定ツール「アドエビス」を導入。広告の露出数やクリック数、クリック単価(CPC)、さらには無料サンプル申込などの表面的な顧客獲得単価(CPA)といった指標ではないところにゴールを設けようと試行錯誤しているところだ。
ブランドサイトに対するプロモーションの効果を、花王はどのように計測しているのだろうか。Web作成部 Web技術グループの本間充グループリーダーに話を伺った。
検索エンジン経由の流入評価、組織のフロー改善にツール導入を決意
花王では事業やブランドごとにサイトを運営。広告出稿に関する決定権は事業部やブランドごとの担当者が持っている。そうした中で横串の機能を果たすのが、本間氏の属するWeb作成部という部署だ。花王のWebサイト全体の企画支援、Web関連の解析ツールなどの運用、「ビューティケアナビ」などの特定ブランドに属さない情報サイトの企画・運営、HTMLやデザインに関するガイドラインの作成などの役割を担っている。
また、Web広告の出稿に関して助言し、出稿実績についてレポートするのもWeb作成部の役割の1つ。インハウスのWebマーケティングチームとしての機能も担当しているわけだ。本間氏は、インターネット広告の効果測定をめぐる社内環境の変化について、次のように述べる。
「近年、インターネット広告に対する期待値は当社の中でも高くなっており、広告費は毎年2桁パーセントで伸びています。これまではバナーなどのディスプレイ型広告が多かったのですが、昨年あたりからセグメントを絞って広告展開をすることが増えてきました。
そうなるとディスプレイ型広告だけでなく、SEOのように検索エンジンからの流入も重視しようという話になってきます。はじめはその効果分析を、導入済みだったアクセス解析ツールでやろうと考えました。ですが、機能要件は満たしているものの、使いこなすにはプログラム開発とレポーティングを固める作業がかなり重い仕事になりそうだったのです」
そこで花王では、社内の広告管理者向けに広告効果測定ツール「アドエビス」を導入することに決めた。各広告の効果を詳しく計測でき、広告クリック後にユーザーがサイト内でどのような回遊行動を取ったのかを把握できるレポーティング機能。データ分析の専門知識がない社内の担当者でも最小限のトレーニングコストで利用できる点や、測定用のタグを一度発行してしまえば広告クリエイティブの変更は代理店側で可能になるオペレーション面の利点などが、アドエビス採用の決め手になったそうだ。