値引きの背景その3 「広告ビジネスに関する知識が浅い」
日本企業はジョブローテーションも多く、クライアント担当者が広告ビジネスに関して詳しくないことがしばしばあります。そのため、代理店マージンを削ることがどのような意味を持つのか本質的に理解していないクライアントも多く存在します。
このような場合にあなたがやるべきことは、無知であるがゆえに値引きを要求するクライアント担当者に向けて、広告ビジネス※について丁寧に説明し、理解をしてもらう必要があります。良い営業マンとは「顧客教育」ができる営業マンです。
※広告のビジネスモデル~売上げと利益の違いについて
広告のビジネスモデルを説明するとき、重要なのが広告の「売上げと利益」という視点です。クライアントが500万円の広告を発注した場合代理店の売上は500万円ですが、そこに広告を仕入れた原価がかかりますので、残る利益は売上げの15%程度の75万円になります。
その75万円に人件費やバックオフィスの諸経費がかかりますので、最終利益は意外と少ないものです。もしクライアントが値引きを要求すれば、赤字になる可能性もあり、代理店が提供するサービスレベルは低下し、対応できる時間や人数も減ります。
このようなビジネスモデルをクライアントに理解してもらえれば、むやみやたらにクライアントが値引きを要求することもなくなりますし、クライアントから代理店に要求するサービスレベルも明確になります。
大手クライアントが長年付き合いのある広告代理店に値引きを要求した際の話です。その代理店幹部は、値引きに応じるのであれば「担当営業をエース級からB級に変更させて頂くことになりますが、よろしいでしょうか」と逆提案しました。それに対してクライアントは「それは困る」とあわてふためき、値引き話は白紙になったそうです。適切な利益がなければ良い人材・良いサービスが供給できないということを即時にクライアントに理解させたこの代理店幹部はもっとも優秀な広告営業マンと言えます。
クライアントから真のパートナーとして認めてもらうためにすべきこと
かつて、私がクライアントとして代理店の方と接していたときに強く感じたのは、代理店の方自身が「業者意識」を持っていることが多いということです。この業者意識コンプレックスを克服することが、クライアントに認めてもらう第一歩ではないでしょうか。
単なる業者ではなく、クライアントの経営課題、人事、組織のことを知りつくし、「お客様以上にお客様のことを理解している」ことが最も重要です。
クライアントのよき理解者、よきアドバイザーとなり「相手の期待を超えるサービス」を提供し、ともに利益を生み出すということにこだわって仕事をすることが出来れば、値引きの話はおろか、マージン値上げの提案をされることがあるかもしれません。(実際に私はマージン値上げを提案し、代理店さんに更に活躍してもらったことがあります。)