読まれるか、無視されるか、<ユーザビリティ>しだい
大切なことだから、はじめに言っておくよ。Webで読まれるコピーを書こうと思うなら、<ユーザビリティ>を意識することだ。<ユーザビリティ>とは、簡単にいえばWebの使いやすさ。利用する人が、不便な思いをすることなく、目的を果たせるかどうかの評価基準といってもいい。文章だけでなく、デザイン、レイアウトといったWebを構成するすべての要素に関わってくる。
<ユーザビリティ>の低いWebは、使い勝手が悪く(知りたい情報にスムーズにアクセスできないなど)、不親切(見づらいレイアウトや読みにくい文章など)なので、たとえ良い情報が載っていても、ユーザーはすぐに離脱してしまう。もったいないよね。
文章についていえば、「要点が分からん」「むだに長い」「読みにくい」が<ユーザビリティ>を低くしてしまう。それは、宣伝文であるコピーも同じだ。原理など本質的なことは、Webでも紙(印刷メディア)でも変わりない。
けれども、いかに読んでもらえるかという<リーダビリティ>(ごめんね、ビリティばかりでややこしくて)については、Web特有の環境をふまえないと、せっかく書いたコピーはスルーされる。そう、ホームとアウェイでは戦い方を変えるように、WebにはWebにマッチしたライティングが必要なのだ。
実験で明らかになった、ユーザーの素っ気なさ。
よく見ない、よく読まない、すぐ帰る。ユーザーの行動について、明らかになっていることをまとめるとこうなる。「そうは言っても、良い情報は読んでもらえるんじゃ……」と思うかもしれないが、自分がWebを利用するときのことを思い返してみてほしい。ツンデレどころの騒ぎではなく、基本的にはツンツンしているはず。デレデレするまで持っていくには、高いハードルを越えなくてはいけない。
そこで、私たちはどのくらいWebにツンツンしているか。<ユーザビリティ>研究の第一人者、ヤコブ・ニールセン博士の助けを借りることにしよう。
- ユーザーは紙と比べると、Webの文章を読むのが苦手
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ユーザーの読むスピードは紙がもっとも速い(iPadやKindle、PCと比べて)
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ユーザーは月並みなページの場合、テキスト全体の20%くらいしか読まない
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ユーザーの78%は流し読みをする(=じっくり読まない)
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ユーザーの視線は、Fの字の軌跡を描く
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識字能力の低い(文字を読むのが苦手)ユーザーは要点をつかみ損なう傾向あり
以上の事実をもとに、ユーザーの行動を要約してみる。
なぜ、ユーザーはWebをちゃんと読まないのか? 理由は大きく分けると2つある。ひとつは<目が疲れやすい>から。テクノロジーの向上によってディスプレイの性能は向上しているが、やはりPC画面を長時間見るのはつらい。
2つめは<情報処理量の増大>。流通する情報は相当な伸びで増え続けている。私たちはそれらをメールやWeb、RSS、Twitter、Facebookなどでチェックする。おかげで、毎日大量の情報を処理せねばならず、情報をひとつひとつ吟味している時間はない。読むかどうか瞬時に判断することを余儀なくされているわけだ。
だから、流し読みで要点をつかもうとする。F字視線というのはその表れと考えていい。ヨコ書きの場合、紙では左から右、行が終わるとまた左にもどって右に進むZ視線がセオリーとされてきた。ところが、Webの場合、同じヨコ書きでも、F字を描くようにはじめは左から右に進むが、すぐに垂直降下する。ちゃんと読むのは冒頭だけ。あとはサッとしか見ない。
一方で、識字能力が低いユーザーは要領よく流し読みができないので、Web上でもじっくり読もうとする。しかし、長時間は続かず途中であきらめてしまうため、要点を取りそこなう。したがってWebの目的は果たされないことになる。
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