キャッチフレーズには広告効果の50%から75%を担う力があるというのに……
キャッチフレーズの使命はこの2つしかない。<つかむ><動かす>だ。読み手を笑わすことでもなく、心に沁みわたらせることでもない。つかまず動かせないキャッチフレーズは、存在はしているが、誰にも読まれないゆえにメッセージを滅ぼすゾンビコピーとなってしまう。
<つかむ>というのは、読み手の関心をひくこと。注意の喚起だね。消費者の購買行動プロセスとしてよく使われる法則、AIDMA(Attention:注意→Interest:興味→Desire欲求→Memory記憶→Action購入)やAISAS(Attention:注意→Interest:興味→Search:検索→Action購入→Share共有)のAの段階だ。
メッセージはつねに呼びかけることから始まる。Attention Please.「ハーイ、注目」とか「ご案内申し上げます」なしには何も起きない。
<動かす>は、もっと知りたいというInterestの喚起だ。クリックさせる、あるいはリードコピー、ボディコピーを読む気にさせること。これらのアクションを促して、はじめてキャッチフレーズはその役割を果たしたことになる。つかむだけで終わってしまうと、やはりゾンビ化はまぬがれない。「A」と「I」、両方への刺激が必要だ。
データの精度は不明であるが、昔から広告効果の50%から75%はヘッドライン、つまりキャッチフレーズの力によるものと言われてきた。広告の父であるデイヴィッド・オグルヴィも、ボディコピーを読む5倍の人がキャッチフレーズを読むと言っている。だからこそ、軽く考えずに頭に汗をかいて考えてほしい。
キャッチのゾンビ化を防ぐために、事前にできる品質チェック方法
果たして書いたキャッチフレーズが、つかんで動かすことができるものなのか? 結果は世に出してみないことには分からないが、事前にゾンビ化を防ぐリスクヘッジ方法はある。
広告にはいろいろな目的があり、その目的に応じてコピーの表現や内容も変わるから、すべてのキャッチフレーズに通用するわけではない。ここでお伝えする方法は「そうだ京都、行こう。」など名作タイプではなく、直接あるいは間接的に購入につながる広告や宣伝コンテンツのキャッチフレーズ向けだ。
やり方は簡単、キャッチフレーズの後に「だから気になるでしょ?」または「だから欲しいでしょ?」というフレーズをくっつける。たまたま目に入ったディスプレイ広告のコピーで試してみよう。
- 朝の谷間、ながもち、リボンブラ。だから欲しいでしょ?
- ヒップアップして脚長に見せる。だから気になるでしょ?
見てのとおり、「だから気になるでしょ?」や「だから欲しいでしょ?」と続けて、訴求対象者がうんうんと合点がいきそうであればひとまず合格だ。文章としてはちょっと変だけど、メッセージの意味に納得できるのであればそれもOK。ゾンビ化リスクを最小に抑えられたキャッチフレーズだと判断していい。
近所の工務店の看板に「建てるなら、◯◯◯(住宅メーカー名)の家。」というゾンビなキャッチフレーズが書かれてあったので、これと比較してみよう。
- 建てるなら、◯◯◯の家。だから欲しいでしょ?
どうだろう? 家を建てたいという人が読んで興味を持つと思うか。たぶんそうならない。
一瞬注目はするだろうが、◯◯◯のセールスポイントがよく知られている、または高いブランド認知を持っていない限り、そこで終わってしまう可能性が高い。キャッチフレーズに何も興味をひく要素がないからだ。しかし、もし「建てるなら、震度5でもびくともしない◯◯◯の家。」とあれば反応も変わってくるはず。
よく、読んでもらえるタイトルの付け方として、「~できる方法」や「~してしまう20の理由」というのが好例として挙げられるが、こうした表現も「だから気になるでしょ?」を続けるとピッタリと合う。方法や理由は好奇心を刺激しやすいメッセージになるしね。
例のキャッチフレーズも<胸の谷間が長持ちする><脚長に見せることができる>と商品のメリットがきちんとあるから、だから欲しいでしょ?と尋ねられてもメッセージとして成り立つわけだ。つかみのよい、動かす力がある表現となっているのだ。
このキャッチフレーズの品質チェック法は、メルマガやニュースリリースのタイトルやヘッドラインでも使えるのでお試しくだされ。
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「コピーの中で最も重要なキャッチフレーズの作り方」「説得力アップのためのフレームワークとレトリックの紹介」の2点に重点を置き、動かす、読まれるWebコピーの発想と作り方を伝授します。キャッチコピー、ボディコピーを実際に書いていただき、その場で講師が添削するワークショップの時間を設けています。