3回に渡り、ソーシャルゲームを開発する上で「カワイイ!」を形作る方法について、様々な観点から書かせていただきました。今回は、これまで経験してきた自身の体験に基づき、さらに実践的な内容をお届けできればと思います。
目的意識を共有すれば海外スタッフとも「カワイイ!」は作れる
これまでご紹介してきた「もっとサンシャイン牧場」というプロダクトは、従来の「サンシャイン牧場」を、より日本人女性向けに、デザインもクオリティアップさせるという目的で開発してきました。しかし、実は日本だけで開発したタイトルではありません。Rekoo Media(中国本社)のメンバーと共同開発したものです。
これは「中国っぽさ」を払拭し、日本人女性にウケるデザインに特化しようというスタンスとは矛盾していたかもしれません。しかし、目的さえ正しく共有できていれば、前回、前々回ご紹介したスタイルシートなどのルールを用いて、日本人同士でなくても開発できることが証明できたと思います。
読者の皆さんも、多国籍の方と様々な仕事をされているかもしれませんが、私はデザイナーなので、特に「ニュアンス」の不一致で悩まされることが多々あります。
日本人の「カワイイ!」と中国人の「カワイイ!」の概念は違います。育った環境、慣れ親しんだ文化が違うので当然です。そのニュアンスの違いを説明し、なるべく目指す方向性を同じにするのは難しいことですが、プロジェクトの目的に関わるので非常に重要です。
私の場合、ここはもう力技です! やはり、日本にいながら目的意識を共有するのは不可能です。何度も北京へ出向き、開発メンバーと直接顔を合わせ、なるべく自分の言葉で説明するようにしました。
- このプロジェクトにおいてデザイナーとして何を達成すべきか
- そのための世界観とデザインコンセプトは?
- 今回目指したいカワイイとは?
この3点は、開発当初にミーティングを開き、自ら皆に説明しました。こうやって目的を事前に共有し、お互いの意識を高め合うことで、より良いスタートが切れると思っています。
ポイントは、「だらだら説明しない」ことです。日本語で長々と説明しても、おそらく10分の1も伝わりません。簡単な英語と中国語でも説明できるレベルの端的な言葉で、誰にでも分かりやすく、目指す要点を明確にすることが重要だと思います。なるべく自分の口で伝えることは、メンバーとの信頼関係を築く上でも大切なことではないでしょうか。