あるマンションデベロッパーのDRM戦略
今回ご紹介するのは、とある大手マンションデベロッパーのDRM導入事例です(注1)。DRMというと、レスポンスツールとして考えられがちですが、マンションのような高額商品は、さすがに広告一発でガンガン売れるものではありません。つまり、この事例は「顧客を探し、育てる」プロセスが必要なアプローチであり、そういう意味ではDBマーケティング、あるいはCRMの要素も含んだ包括的なダイレクト・コミュニケーションの事例であるといえます。
順を追って説明していくことにしましょう。今回取り上げるクライアントは、有名なブランドのマンションを相当数保有する国内有数のデベロッパーです。同社では、自ら商品を開発し販売していく中で、どのように潜在顧客をつかみ、アクションを起こさせ、顧客満足度を上げていくのかを常に考え、着実に売上を伸ばしてきました。しかし、その販売においてまったく問題がなかったわけではありません。各地域でマンションに適したエリアは限られていますから、同じ場所に競合他社の商品(マンション)が軒を連ねることが珍しくなく、成功のためには潜在顧客にどのようにして決定的な選択要因を与えられるかが大きな鍵だったにも関わらず、その潜在顧客への直接的なコミュニケーションが手法として確立されていなかったのです。
電通ワンダーマンでは、2003年から3年間この企業のマーケティングサポートを担当。潜在顧客をつかみ、結果にドライブさせるための手法を提供しました。次ページから、その事例の内容を具体的に見ていくことにしましょう。特に読者の皆さんには、従来のDRMのイメージを大きく超えたものになっているかもしれません。その理由のひとつは、マンションという商品の特性でしょう。ただ、だからこそ「自分とは関係ないや~」ではなく、(潜在)顧客との間で直接的なコミュニケーションを取ることの有用性を示した好例として、参考にしていただければと思います。