CS(顧客満足)を上げる=次のビジネスを構築する
顧客DB内の3層構造区分―見込み顧客、未入居顧客、入居顧客―はおわかりいただけたでしょうか? このシステムでは、顧客はモデルルームに来訪しアンケートに答えた瞬間から契約後に至るまで、その企業に対して意識が常につながっているのです。このような環境を構築し、コストを掛けて関係を維持することによって、見込み顧客に契約を促すだけでなく、彼らが契約者→入居者とアップグレードしたとしても、それぞれのステイタスで最適なメッセージングを行うことが可能になるわけです。こういった関係がもたらすものが、いわゆる顧客満足(CS)度の向上です。
たとえば、横浜市の住民が地元のマンションを買おうと思ってモデルルームに行ってみたが、たまたまその物件との相性が悪く、どうしても気に入らなかったとします。もしデベロッパーと見込み顧客の関係が、モデルルーム内の一期一会的なものであれば、その物件をあきらめて終わりになってしまうはず。しかし、今回の事例のシステムでは、横浜市という希望エリアとひも付け、予算感の合う隣接または至近での同社物件を探し出し、見込み顧客に推薦することができるのです。見込み顧客会員組織サイトは、そのためのプラットフォームでもあるということになります。
購入予定者は候補エリア内で最低2~3ヵ所はモデルルームを巡ると言われています。競争の激しい中、見込み顧客とのコミュニケーションを途絶えさせないことは、結果として必ずその企業の商品を購入させるためにも、とても重要な条件でしょう。
また、マンションという高額商品に対して「売ってしまえば終わり」的な態度では、購入者の不安・不満は増すばかりです。そこで、未入居者、入居者をきちんとステイタス分けして、それぞれに専用のWebサイトを構築。未入居者に対しては、入居に関する情報を、入居者に対しては暮らし(マンションライフ)を豊かにする情報を…当然、顧客の状況によって必要な情報は異なりますので、それぞれのプラットフォームを分けることで対象層とのマッチングもより密になるというわけです。
さらに、情報もデジタルとリアルの2本立てになり、それぞれが連動するようになっています。これは、単にインターネットの視聴が可/不可という問題ではなく、性質の異なるメディアを連動させることにより、デベロッパー企業へのより深いロイヤリティを育てるための相乗効果をねらっているのです。ひとつの家族の中でも、会報誌を見る者、Webサイトから情報を得る者などが混在しているので、誰もが楽しめるインターフェイスを提供することで、個人ではなく、家族全体をロイヤル顧客化させることができるのです。
現在の入居者は、実は次の新規構築マンションのナンバーワン・ターゲットである……この事実からも、常に良好な関係を保つためのコミュニケーション施策を意識する必要があるのです。