『ウェブ分析レポーティング講座』
前著『入門 ウェブ分析論』(ソフトバンククリエイティブ)に続いて登場した小川氏の新刊です。今回は、ウェブ分析そのものよりも、分析の結果得られたデータをどのようにうまく人に伝えるかを解説した本。
「モニタリングレポートとは何か」から始まり、KGIとKPIの算出、基本指標の洗い出し、データの加工などの知識を説明したうえで報告用の資料の作り方を解説。レポートを作成して終わりではなく、それをしっかり報告・共有し、いかに改善施策へとつなげるかにも4章を割いて説明。さらに4社の事例も紹介するという念の入れよう。
「得られたデータを解釈し、さらに分析することで”気づき”を得られるかは、人間(=皆さん)にかかっています」と語る小川氏。データ分析だけでなく、ビジネスとは何か、そして人とのコミュニケーションについても考えさせられる1冊です。
『ビッグデータの衝撃』
「知ってるよ」「もう読んだ」という人がたくさんいるであろう1冊。ビッグデータとは何か、巨大なデータの活用が可能になった背景には何があるのかという話から一歩進んで、いま知っておきたい情報がわかりやすく網羅されています。
ビッグデータを支える技術やソフトウェアといった具体的な情報がコンパクトに整理され、よく話題になる「Hadoop」と「NoSQL」についてもわかりやすく解説。「ビッグデータを武器にする企業」という章では、それらがどう活用されているかを国内外の事例をもとに紹介しています。
さらに、ビッグデータ時代特有のプライバシーの問題、データを取引するデータマーケットプレイスや、データサイエンティストの獲得競争についても触れており、今もっとも熱いビッグデータの世界をかいまみることができます。
『Personal MBA』
最後は少し毛色の違う本を。「MBA(Master of Business Administration)」は、経営学修士を指し、ビジネススクール(経営学大学院)で経営学を専攻・修了したひとに授与される資格。では、「パーソナルMBA」とはなんでしょうか。
本書の著者であるジョシュ・カウフマン自身はMBAをもっていません。しかし、彼は世界的な消費財メーカーP&Gに就職し、そこでビジネスとは何かについて学ぶことになります。彼は働きながら、何千ものビジネス書や数百ものビジネスブログを読み、独学でビジネス能力を高めていきます。そして、2005年、独学でMBA級の能力を習得することを目的とした「パーソナルMBA」というサイトを立ち上げるのです。
このサイトが話題となり、世界各国からアクセスを集め、そのコンテンツをもとに書籍化されたのが本書。今ではスタンフォード大学やニューヨーク大学などでもテキストとして採用されているそうです。
本書を手にすることで、ビジネスについての知識の体系を知ることができます。それだけではなく、最初の1章「本書を読む理由」を読むと、学ぶこと、独学とは何かについて考えさせられます。MBAについては、6月に『ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門』(日経BP)という本も出ており、MBA取得はムリだけど何を勉強しているのか知りたいというニーズは少なからずあるようです。