日本と海外、モバイルをめぐる周回遅れの写真ブーム
ひとつ興味深いのは、このなかでLINEのタイムライン(ソーシャル機能)は、同じLINEのトーク(チャット機能)に比べてあまり使われていないようなのだ。「新機能を使っていないユーザーが6割以上」という調査結果もあるし、体感としてもそういう印象がある。
海外ではスマートフォンで写真を共有するアプリ、つまりInstagramやPathが話題沸騰となり、その後のFacebookやTwitterのスマートフォン戦略にも影響を与えてきたところがある。2010年ごろには、これからのトレンドはモバイルによる写真共有という論調すらあった。
だが、日本が世界に誇る「ガラケー」にはカメラが10年前から付いており、写真をメールで共有する「写メ」も一般的に利用されていたわけで、2010年になってモバイルの写真がトレンドと言われると、ものすごい周回遅れ感があったのを覚えている。
つまり、周回遅れで欧米のアーリーアダプターがようやくカメラ付き携帯電話に追いついたころ、ちょうどコミュニケーションにもソーシャルの波が来ており、最初からメールではなくソーシャルなサービスで写真が共有されるようになっていった。そこに新しさがあったのだ。
次の波「LINE」、その影でカオスな楽しさが生まれつつある「pick」
ところが、次の波となるLINEでは、写メによる一対一の関係をWebに置き換えたチャット機能が利用の中心で、ソーシャルな機能はあまり使われていない。実際にGoogle Playでのアプリレビューでも、新規の機能は要らないから友だちとの一対一の関係性を重視したいという声が目立つようだ。
この違いはどこから来るのか。単に「LINEがもともとチャットアプリだったから」かもしれない。しかし、LINEがもとからソーシャルアプリとしてリリースされていても、同じように大流行しただろうか。一対一のプライベートでも、数人のグループでも、不特定多数のパブリックでもない、ソーシャル特有の得体の知れなさに戸惑う人の姿がそこに確かにあるようにも思えるのだ。

そういえば先ほどのスクリーンショットの中でまだひとつ紹介していなかったが、pickは、LINEと同じNAVERが提供する写真共有アプリだ。LINE cameraがリリースされる数ヶ月前からLINEのキャラでデコった写真を自由に投稿でき、Instagramのようにフォローしあうゆるいソーシャル性がある。アジアっぽい独特のごった煮的な世界が展開されていて、パラレルワールドのLINEを見ているような、かなり面白い空間になっている。