誤解が生じたのは誰のせい?
契約締結段階における当事者は、虚偽の情報を相手方当事者に対して提供するべきではなく、また、情報を提供した場合には、その内容が虚偽ではないとしても、その内容について相手方当事者に誤解が生じている場合にはその誤解をなくすようにする義務を負担しています。この義務は、「信義則上の保護義務」や「情報開示提供義務」といわれることがあります。インターネットショッピングモール(以下、ISM)の担当者がISMに出店を検討している者に対して説明した、ISMへのアスセス数、他の出店者の状況、売上・収益予測などの内容が誤っていた場合、この「信義則上の保護義務」や「情報開示提供義務」に違反しているかが問題となります。
フランチャイズ契約に関する事案ではありますが、「信義則上の保護義務」に違反したとして、フランチャイザーに対して損害賠償を命じた裁判例もあります(京都地判平3・10・1)。

したがって、一般論としては、ISMの運営者に「信義則上の保護義務」ないし「情報開示提供義務」が認められ、契約交渉過程においてISMへのアスセス数、他の出店者の状況、売上・収益予測などについて誤った内容を説明することで「信義則上の保護義務」等に違反し、それによりISMの出店者に損害が発生した場合には、ISMの出店者は、ISMの運営者に対し、被った損害の賠償請求をすることができます。ただし、ISMの運営者にどの範囲で「信義則上の保護義務」ないし「情報開示提供義務」が認められるかは、ISMの運営者の行為がこれらの義務に違反するかは事案ごとに異なりますので、結論についてはケースバイケースとなります。
本稿中、意見にわたる部分は、筆者個人の見解を示すにとどまり、筆者の所属する法律事務所の意見を表明するものではありません。また、具体的事案により本稿中とは異なる結果が生じる場合があります。
ネットで商品を購入したのに、商品が届かず、ショップは夜逃げされた。このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか?
インターネットショッピングモールの「はてな?」その1はこちらから