BtoB分野の映像活用プロモーションは黎明期
「マルチメディア」という言葉が頻繁に使われていた時代がありました。1980年代から1990年代にかけてCD-ROMの普及とともに、パソコンの販売促進のキーワードとして使われたこともあります。しかし、「マルチメディア」という言葉は現在、死語になりつつあるといえるかもしれません。ブロードバンドによるインターネットでは、マルチメディアであることが当然だからです。
YouTubeが日本語化され、動画のアップロードや共有も急速に身近になってきました。SNSでもmixiなどで動画コンテンツのサービスを開始。ニコニコ動画のように動画にコメントを追加できるサービスも注目を集めています。また、3Dによるバーチャルな世界「セカンドライフ」も登場し、2Dから3Dへインターフェースの進化も期待されるところです。
このようなインターネットの変化は主に一般向け(BtoC)の動向ですが、BtoBのコミュニケーションにおいてどのような影響をもたらすのでしょうか。
BtoBにおけるオーソドックスな動画活用は、映像と資料を同期させた映像でしょう。IR(投資家向け)コンテンツでよく使われていますが、人物と映像をシームレスに合成したものはPIP(Person in Presentation)と呼ばれています。ブランデッド・エンターテイメントとしてショートフィルムを制作する企業もありますが、潤沢な予算がなければ難しいものです。したがって、セミナー映像をWebサイト上でストリーミング配信したり、導入事例のビデオ配信、リッチメディア広告などが現実レベルでは企業の映像活用の基本といえます。PRや広告の分野以外に目を向けると、動画によるWebラーニングも考えられます。
しかし、当然のことですが、情報の受け手にとっては、自宅で動画を楽しむように会社で気兼ねなく動画を視聴することはできません。昨年の11月にSEデザインでは「映像メディア利用実態調査 」を実施しましたが、「映像視聴で障害になること」の社会人(N=687)の回答では、「じっくりと視聴する時間がない」が37.3%で最も回答率が高い結果となりました(複数選択式)。
したがって、BtoBの動画配信では、3分以内で内容を凝縮したり、要点をテロップにすることなどの工夫が必要になります。移動中に視聴するPodcastingも考えられますが、そもそも企業内のPCにハードディスクを接続することはセキュリティの観点から問題視することもあります。
一方、企業内で映像コンテンツを管理する場合、宣伝部や広報部はもちろん、IR関連の部門や人材教育の部門になどが中心となります。しかしながら、ノンリニアのビデオ編集が簡単になり、Webサービスも登場している最近では、究極のところ企業内個人がビデオを制作することも可能です。さらに企業内個人がメディアとなって情報を発信することも可能になってきました。その一例として、IT系の企業のサン・マイクロシステムズ株式会社の事例をご紹介します。