野村総合研究所は、2017年度までの位置情報の活用による顧客・生活者向けサービスの進化と、そのインパクトを予測した「ITロードマップ」を発表した。
スマートフォンの急速な普及によって、生活者が位置情報を活用しやすくなったことや、SNS上で位置情報を共有する行動が増え始めたことにより、社会・産業分野においても位置情報サービスの価値が高まっている。
2012~2013年度:位置情報連動クーポンを中心とした実店舗への誘導サービスの始まり
先進的な小売業では、スマートフォンに内蔵されたGPSセンサーを活用して、位置連動クーポンの配布サービスを開始。
これまではGPSや携帯電話基地局を用いた測位に限られ、生活者の正確な位置の把握は難しく、具体的な実店舗への導線の過程や状況を把握することはできなかった。
最近では無線LANの電波や、超音波などを用いて、サービス会員のスマートフォンが特定の場所に「近づいたことを検知」する技術が登場。そして、既にGoogle Mapsなどでは、大都市圏の駅・大型商業施設などで屋内の地図が作成されている。これにより、サービス会員が店舗の近くに来たり、店舗の特定の陳棚に近づいたことを検知し、来店クーポンや入店ポイントなどを提供するといったサービスが可能になりつつある。
2014~2015年度:ジオフェンシング(チェックインの自動化)による位置情報活用高度化
次世代の位置情報サービスとして、サービス会員が事前に設定された特定のエリアに近づくと自動的に最新情報やクーポンを企業側からプッシュ配信する、「ジオフェンシング(チェックインの自動化)」というサービスが普及し始める。
地図上に仮想のフェンスで囲んだエリアを設定し、会員のスマートフォンがそのエリアに入ったかどうかを確認することで、より生活者の置かれた状況に応じて、自動的に最適な情報やサービスを提供することが可能に。
さらに、位置情報の活用はGPSの利用が困難な屋内へと広がっていく。2014年に本格的な運用が予定されている日本の準天頂衛星を用いた測位システムでは、屋内にGPS衛星と同じ位置特定用の電波を送信する送信機を設置するしくみ(IMES:Indoor Message Service)の実現が予定されており、GPSの利用が困難な地下やビル内でも、正確な位置を特定できるようになる。
2016~2017年度:ロケーション・インテリジェンスの実現
位置情報を活用したO2Oサービスの実現と他の様々なサービスの普及を通じて、多くの生活者の位置データが蓄積されていくことにより、生活者の位置データを他のデータと組み合わせて分析・活用する「ロケーション・インテリジェンス」が新たな価値を生み出す段階に至る。
また、生活者にとっては、ロケーション・インテリジェンスによる分析結果と自分の日常の購買履歴やネットの閲覧・検索履歴、SNSへの投稿などと合わせて活用することで、これまでにないその場に応じたおもてなしを享受することが可能に。
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