偶然から生まれた製品の誕生秘話
今となってはそれが存在しない世界が想像もできないプロダクトが、実は偶然の産物だったなんてお話は珍しくない。映画“How do you know?”(邦題:幸せの始まりは)のラストシーンで、主人公の男性が「Play-doh」(プレードウ)が誕生したストーリーを比喩として話すの。Play-dohは、子どもなら誰でも馴染みがあるカラー粘土。
1955年、当時の古い加熱方法で汚れてしまった壁紙をきれいにするクリーナーとして、オハイオ州の男性が発明した白い粘り気のある物体。ところがガスや電熱が普及するにつれて壁紙を掃除する必要がなくなり、彼のビジネスは縮小していった。そんな時、保育園の先生をしていた男性の姉が、小さな子どもは柔らかい粘土が好きみたい、「色をつけて、Play-dohって呼んだらどう?」と提案したそう。遊ぶ粘土だから「Play-doh」。そんなお姉さんのちょっとした発想が、75カ国で毎年9,500万個缶(2005年時点)売れる商品を生んだのだからすごい。素敵なお話よね。
今回は、そんな偶然から生まれたプロダクトの誕生秘話を紹介するよ。
従業員のミスから生まれたP&Gの石けん「IVORY Soap」
P&Gの人気の石けんは従業員が起こしたミスから生まれたんだって。1879年、P&Gで石けん作りを担当していた男性はいつものようにランチを食べに行ったそう。でもその日、間違えて石けんのミキサーをつけたまま出てしまい、通常より多くの空気が含まれた石けんが出来上がった。間違いを報告してトラブルになることを恐れた彼は黙ったままでいた。すると、そのバッチの石けんを使った消費者から、「あの浮かぶ石けんが欲しい」という声が集まるように。その後、ミスは発覚したけれど、P&Gでいちばんの売れ筋商品「IVORY Soap」が誕生した。
20年後に特許申請されたアイスキャンディー「Popsicle」
ニューヨークに住んでいた頃、夏になると1か月くらい泊まりのサマーキャンプに行くのが恒例だった。そこで食べるのが水色、白、赤3色のアイスキャンディー。ちょっと舐めただけで下がすごい色になって最初はビックリしたっけ。そんなアイスキャンディー「Popsicle」の誕生秘話。
1905年、サンフランシスコに住む11歳の男の子Frank Eppersonがソーダづくりのツールを外に起きっぱなしにしてしまった。次の日、ソーダをつくるときに使う木の棒が水の中で固まってアイスキャンディーになっていた。友達や家族には話したものの、そのまま何もせず月日は流れた。そして1923年、青年になった彼はアイスキャンディーの特許を申請。2年後の1925年に、EppersonはニューヨークのJoe Lowe Companyに特許を売った。