ニールセンは、全世界の広告費を調査する「Global AdView Pulse」の2012年第3四半期(7~9月)の結果を発表した。それによると、グローバル全体での広告費は健全な伸びを見せており、前年同期と比較して 4.3%、1,390億ドル増加していることが明らかになった。この増加率は 2012年上期(1~6月)の成長率(2.7%)を上回る。
地域別広告費
地域ごとの広告費を見ていくと、中東およびアフリカ (対前年比18.9%増)、そして北米で大きく増加した。北米市場では 1~9月までの広告費は対前年比5%増、第3四半期だけでは 対前年比10.2%増と伸長した。
北米では、自動車産業およびサービス産業分野の広告費が対前年同時期比で2桁の成長とをしている。サービス産業分野の広告費には、アメリカ大統領選挙に関連する広告支出を含む政治広告の広告費を含む。
アジア太平洋でも広告費は増加。1~9月までの期間で2.7%、第3四半期では 3.5%ほど前年同時期に比べて増加。この地域の広告費の増加は、回復を見せた中国の広告市場に支えられている。
2012年上期(1~6月)に対前年比で2.7%の減少を見せた西ヨーロッパの広告費は、長引く経済不安により広告主が支出を抑えたため、第3四半期には4.8%減と、さらに大きく減少した。この減少は、ヨーロッパ全体の対前年比3.4%減の一因となった。
媒体別広告費
広告主が最も多く広告費を投資するのはテレビだが、調査期間中の伸び率はインターネット(7.7%増)および映画(9.2%増)が特に高かった。
インターネット
ディスプレイ広告は、金融、日用消費財、テレコム広告主の予算増加の恩恵を受けた。調査期間中、対前年比で最大の広告投資の増加をおこなったテレコム業界は、ディスプレイ広告費を25%以上増やした。
ディスプレイ広告は困窮する西ヨーロッパの広告市場においても伸びを見せ、2012年1~9月期には9%増加した。実際、西ヨーロッパにおいては、ディスプレイ広告のみが広告費が増加したメディアであった。
映画
アジア太平洋地域における映画広告、第3四半期広告費は異例の54.7%増という急上昇を見せた。一方で、南米やヨーロッパにおける映画広告は、対前年比でそれぞれ5.5%、4.5%減少した。
テレビ
テレビ広告は昨年1年間では4.3%、2012年上期では3.1%増加した。第3四半期の北米のおけるテレビ広告費は13.5%増となり、広告費全体の成長を後押しした。テレビ広告費は全メディアにおける広告費の61.8%を占め、テレビ広告は広告主にとって最も優先度の高いコミュニケーションメディアであることが示された。
新聞・雑誌
2012年1~9月期、雑誌は広告費の減少を見せた唯一のメディア (1.3%減) 。新聞は0.8%増と僅かな成長にとどまった。2012年 第3四半期は前年同期比で雑誌が1.8%減、新聞が0.6%減と、両メディア共に広告費は減少。アジア太平洋地域は中国(10.6%増)や日本(3.8%増)などの主要市場に支えられ、雑誌広告は対前年比で5.3%増加したが、北米およびヨーロッパ市場ではそれぞれ3.2%減、6.8%減であった。
産業別広告費
日用消費財業界は引き続き広告投資を増やしている。2012年1~9月期に全広告費のおよそ 4分の1 を占める日用消費財業界の広告費支出は6%増加。日用消費財業界はテレコム、メディア、そして自動車産業と共に対前年比で最も広告支出を増やしている業界カテゴリーとなった。
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