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FEATURE

「宣伝部長だって大変なんです」、「消臭力」のCMで震災後の日本の空気を変えたエステー鹿毛氏の「伝える力」

 ポルトガルの少年、ミゲル君が歌い上げる「消臭力」のCMをおぼえている人も多いだろう。Web広告研究会のフォーラムに、このCMを手がけたエステー株式会社 宣伝部長・鹿毛康司氏が登壇。立川談志をほうふつとさせる語り口で、広告を通じて人に想いを届けることの難しさ、試行錯誤の日々を語った。

僕は分裂していません

エステー株式会社執行役宣伝部長クリエイティブ・ディレクター鹿毛康司氏
エステー株式会社 執行役
宣伝部長/クリエイティブ・ディレクター 鹿毛康司氏

 2月22日に開催された、日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会のフォーラムに、「消臭力」のCMを手がけたエステー株式会社の宣伝部長・鹿毛康司氏が登場した。今回のフォーラムでは、「デジタル・マーケティングでビジネスを成功させるのは宣伝部長です」という宣言がなされたが、鹿毛氏は「宣伝部長だって大変なんです」と笑う。

 ポルトガルの少年ミゲル君がアカペラで歌い上げる、エステーの「消臭力」のCMは、東日本大震災のあとに放映され、多くの人に強烈なインパクトを残した。「エステーには中途で入りました」という鹿毛氏は、大学卒業後に雪印乳業に入社。2000年に起きた雪印集団食中毒事件などの対応に追われた経験を持つ。その後、エステーに移籍し、さまざまなCM・宣伝活動を手掛けてきた。

 「メディアミックスとか言いますけど、僕は人間としてひとり。それなのに、メディアはこうです、ウェブはこうです、ソーシャルはこうですって言われても、それはあんたがたが分裂してるだけで、僕はぜんぜん分裂してない」と、会場を埋めたWeb広告研究会の会員に語りかける鹿毛氏。まず「伝える」ということから話を始めた。

 「企業は広告を打つとき欲がでる。自分のお金で広告やってるんだからと。でもそのままでは届かない」。なぜ伝わらないのか。「女をくどかないから、男をくどかないからですよ。そういう最も根本的なものを、みんな忘れてしまっているのではないだろうか」と、広告を届ける先にいる人たちのこと、その人たちの心を動かすためのクリエイティブについて語り始めた。

人の目をハートにさせるクリエイティブ

 広告の世界では「伝える」「認知」と言うが、大事なのは「好きにさせる」ということ。「好きになってもらうには、届けるクリエイティブが魅力あるものでなければならない。そのとき、受け手の目がハートになる。これが目的なのに、みんな忘れている」(鹿毛氏)

 「そういうクリエイティブを、みなさん本当にソーシャルでやってますか? 僕はやってないと思いますよ。現実はそれでも届かないんです」。テレビCMは月に4500本放送され、ひと月に製作される数は1000本にものぼる。それをそのまま流しても素通りされてしまう。「自分たちのハートを届けるには、我々貧乏人は届ける工夫をしないといけない。でも金持ちも工夫してるから怖いんです」と鹿毛氏は笑う。

 エステーの広告予算は28億円。広告費ランキングで230位くらいだという。「でも、うちはCM到達度ベストテンに入ってます」。それはなぜか。氏は「CMが届いているからではない」と意外な言葉を発した。「実は、CMを拡散させるための方法を一生懸命しているんです」。

届けるための工夫

 テレビCMにおいても、鹿毛氏は独特の戦略を持っている。「うちは3つしかテレビ番組持ってないけれど、月9のドラマを持っている。ねらいは視聴率ではない。『月9のドラマで何かをする』ということが話題になるんです」(鹿毛氏)。

 木村拓哉主演のドラマでは、第1回の放送にCMが間に合わず、「CMが間に合いませんでした」というお詫びのCMを流したことも。しかし、伊達や酔狂でこんなことはできない。特命宣伝部長として企業ホームページでお詫びもした。そのために、広報責任者、お客様相談センターから了承をとりつけ、役員会にかけてOKをもらったという。

 また、氏はみずから「高田鳥場(たかだのとりば)」という、鳥のかぶりものをしたキャラクターも持っており、これでCMにも登場している。出版社から本も出たが、本を売ることが目的ではない。ネットメディアや新聞、雑誌などでの話題づくりのためである。そして、全国のテレビ局に頭を下げて高田鳥場として「出してください」とお願いし、数多くの出演を果たした。

 こうしたやり方を「奇策」と評されたこともある。しかし、「奇策ではなく、これこそがネット展開の王道だと思っている」と鹿毛氏は言う。奇抜な企画をどうやって社内で通しているのかとよく聞かれるが、これに対しては「成功を重ねなければ許してもらえるわけがない」と、思いつきだけで実現できるほど現実は甘くはないと釘を刺した。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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2013/03/12 11:00 https://markezine.jp/article/detail/17318

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