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最新アドテクの効率的「運用」を考える(AD)

テレアポ修行の代わりにログ集計 DSPトレーディングデスク運営の現場とは[s1o渕上氏×フリークアウト佐藤氏対談]

 最新のアドテクノロジーを効率的に「運用」していく上での課題と解決策について、全4回にわたってご紹介していきます。第3弾となる今回は、まさにDSP運用の最前線「トレーディングデスク」事業のフロントランナーである、株式会社エスワンオーインタラクティブの代表取締役社長 淵上優氏をお迎えし、「運用組織」の作り方についてお話をうかがいました。

DSPトレーディング運営現場とは s1o渕上氏×フリークアウト佐藤氏対談

フリークアウト 佐藤裕介(以下、佐藤) エスワンオーインタラクティブさんとは、僕らが DSP 事業を開始して間もない頃からのお付き合いなんですよね。

エスワンオーインタラクティブ
代表取締役社長
淵上 優氏

エスワンオーインタラクティブ 淵上優(以下、淵上) そうですね。2011年の5月頃にウェブサイトから問い合わせて、すぐにフリークアウトさんのプラットフォーム導入を決めました。当時、MicroAd BLADEやMarketOne RTBもローンチされていなかったタイミングでした。

佐藤 ちょうど当時は、RTB、DSPってこういうものだよっていう勉強会を、総合/ネット専業問わず広告代理店さんで僕がやりまくっていたような感じで。

淵上 DSPが普通に使われている今では考えられないほど、2011年夏頃までは、ほとんど誰も知らなかったですからね。

佐藤 そんな中で、淵上さんとは初めてのお打ち合わせからウマがあって、今後のオンラインマーケティングの潮流、広告代理店の組織構造の変化についてお話したことを覚えています。今考えると、当時からかなり詳しかった印象ですが、なぜなんでしょう。

淵上 当社はDSP登場以前から、アドネットワークやアドエクスチェンジを活用したトレーディングデスク事業を行なっています。ディスプレイ領域に特化していることも特徴で、ずっと渦中で考え抜いてきた、というのは大きいと思います。

あらゆる企業の広告運用を担いたい
「オペレーションプラットフォーム」というポジション

佐藤 なるほど。そういうワケだったんですね。ここ2年ほどは、RTB経由の買付を中心としたトレーディングデスク事業に注力されて、非常に成長されていると思うのですが、エスワンオーインタラクティブさんの強みやユニークさは、どういったところにあるのでしょうか。

淵上 我々がいまやっていること、これから目指していきたいことをまとめると「オペレーションプラットフォーム」だと考えています。

佐藤 オペレーションプラットフォーム! あまり聞き慣れない言葉ですが、どういったものなのでしょうか。

淵上 運用型広告は、その名の通り日々のPDCA サイクルを高速で回すことで真価を発揮します。この運用部分に特化し、広告主様だけでなく、他の広告代理店様も含む、あらゆる企業の広告運用を行うプラットフォームになりたいと考えています。そのため、現状はフラットに複数のプラットフォームを利用することで、ナレッジを蓄積しレーディングデスクとしてスキルアップをしているフェーズかと思います。

佐藤 広告主様や広告代理店様が、自社で行うことは難しいのでしょうか。

淵上 もちろん不可能ではありません。しかし、既存の広告代理店様や広告主様にとって、運用担当者の効率的な育成やマネジメント、キャリア形成は難易度が高く、コストもかかります。

佐藤 そうですね。フリークアウトにも10名以上のトレーディング (運用) チームがあるので、共感できます。特にキャリア形成は難しいですね。

淵上 一般的な広告代理店様の場合、運用担当者はコストセンターと見なされることが多く、派遣、契約社員の割合が大きいですね。運用担当者が出世していく、というキャリアアップの構造がつくれていない。

佐藤  うーん、そう思いますね。

テレアポ代わりに、まずは「ログ集計」からスタートするキャリア

淵上 当社はトレーディングデスク事業にフォーカスしているので、メンバー全員が広告運用をゼロから経験します。新入社員はまずテレアポから、といった習慣が広告代理店では残っているところも多いですが、我々はテレアポの代わりに、配信ログの集計作業から入ります。

佐藤 テレアポ修行ではなく、ログ集計修行。おもしろいですね。

淵上 そこから、ログ分析→レポート作成→各種パラメータ調整→アカウント構造の設計→提案作成といった形で、やれる領域を徐々に広げていきます。その中できちんと成果を出した人間が、お客様の前に立てるという具合です。基本的には、ひとつ上の領域をやっている人間が下を教育していきます。

佐藤 キャリアパスと、スキル成長を生み出す仕組みがあるんですね。

淵上 はい。アドテクノロジーの領域では、営業するだけでなく、複雑なプロダクトや運用ノウハウの理解があってはじめて、お客様にご提案できる資格があると思っています。運用担当者と、彼らをまとめる営業担当を、組織的にハイスピードで育成していく仕組みが我々の強みと言えますね。現在、トレーディングデスク運用チームは、20名以上の規模になっています。

佐藤 2年前に取引開始した際はお2人だった記憶があります。ものすごい成長ですね。

淵上 やはり、質の高い運用や、アドテク運用のバックグラウンドがある提案が、特にDSPの登場を境にディスプレイ広告の世界でも求められるようになった、ということでしょうか。

競合企業からも! 他社トレーディングデスクからの運用依頼

佐藤 お取引先は、広告主中心ですか?

淵上 事業開始時点では、直販が中心でしたが、最近では競合と考えていた広告代理店や他社トレーディングデスクから運用委託を受ける機会も増えてきました。

佐藤 他のトレーディングデスクからの発注があるのはおもしろいですね。

淵上 やはり、運用担当者の継続的な育成という点で、悩んでおられるところが多いのではないでしょうか。特に立ち上がりのタイミングでは、どうしてもリソース不足に陥ってしまうのでしょう。多くのテクノロジーが毎月のように登場するだけに、それらに習熟しながら新しいものをキャッチアップしていく体制をつくることは一朝一夕にはできません。

フリークアウトを使う理由は「データやパラメータの豊富さ」

佐藤 なるほど。当社プラットフォームをご利用いただいているお客様の中でも、ひときわ存在感のあるエスワンオーインタラクティブさんですが、フリークアウトにどのような利点を感じていただいているのでしょうか。

淵上 当社はオペレーションプラットフォームなので、とにかく運用を細部まで細かく触れることが非常に重要です。コンピュータの方が得意な処理は、どんどん自動化しながらも、最適化の名のもとに人をサボらせるのではなく、より高いパフォーマンスを求める上で、見られるデータの豊富さや調整できるパラメータの多さは気に入っています。

佐藤 プラットフォームを極限まで使いこなすことで強いポジションを築いておられるエスワンオーインタラクティブさんらしいご意見ですね。ありがとうございます。

淵上 あとは、APIがよいですね。自社レポートツールとつなぎこむ開発を現在行なっており、今後も独自機能をフリークアウトさんのプラットフォーム上でどんどん展開したいと思っています。その他にも、配信先広告枠の開示やプラットフォーム利用料など、多くの情報を公開してくれている透明性も気に入っています。

佐藤 API を通じた拡張性は、プラットフォーム設計当時から念頭においていて、最近では広告代理店さんが独自のアプリをリリースするなど、盛り上がってきています。

淵上 運用をしていて必要と感じた機能を、プラットフォームのコア部分とは別に、自由に開発できるのは、トレーディングデスクとはしてはやりやすいです。そういった独自性をどんどん拡大させながら、オペレーションプラットフォームとして、広告主様、広告代理店様のみなさまのお役に立てるよう、がんばります!

佐藤 フリークアウトも、エスワンオーインタラクティブさんの運用メンバーの方々の期待に応えられるよう、ハイスピードでプラットフォームの進化させていきます! 本日はありがとうございました。

対談後記

 運用チームの成長と拡大を、キャリアパスなども含め考えておられることに感銘を受けました。DSP運用で成功するためのドライバーは、プラットフォームそのものの品質と同時に、運用担当者に尽きると実感しています。組織的に運用メンバーの成長とキャリアアップに取り組み、成果を残しておられる事実は、他の広告代理店様やインハウスで広告運用を行う広告主さまにとっても非常にインパクトがあるのではないかと思います。プラットフォームの優秀なドライバーたるエスワンオーインタラクティブさんに置いていかれないよう、当社も開発体制を強化を積極的に進めてまいります。

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この記事の著者

佐藤 裕介(サトウ ユウスケ)

株式会社フリークアウト 取締役 COO2008年よりGoogleにて広告製品を担当。Google The Foundations of Leadership修了。Google退職後、複数の技術系スタートアップに対し出資、ソフトウェア開発を支援すると同時に、鉄道会社からレコード会社まで幅広くコンサルティングを...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/04/17 11:00 https://markezine.jp/article/detail/17571