データの解析に必要な3つの能力
―― 現在、ビッグデータの分析の現場では、人材が不足しており、宇宙物理学や脳科学の研究者もデータサイエンティストやアナリストとしてマーケティングの世界にやってくるようになりました。しかし、「コンバージョンとは」といったマーケティングの基礎知識から教えていかなければいけないという声もあり、なかなか難しい状況のようです。
内山 大変だと思いますが、それは一時的なものですよね。たとえば、「ソーシャルと政治」と言ったときに、政治の専門家ってソーシャルのことをまったく知らないわけです。ぼくたちもITの世界にいて、政治のことをわかっていない。でも、今はじめてソーシャルと政治がネット選挙解禁というタイミングでつながろうとしている。そこには専門家なんていないんですよ。
―― そうですね。今はじめて異なる世界の人たちが出会っているわけですから。
内山 いないんです。政治をやってきた人とソーシャルをやってきた人が会話をして、互いの知らないところを共有してはじめて、ソーシャルも政治もわかる専門家が生まれてくる。だから、ビッグデータが出てきて、統計とマーケティングがはじめて結びつこうとしているなかで、そりゃはじめての人には教えなきゃいけないですよね。これで10年とかたつと、大学でマーケティング統計みたいのが生まれてきて専門家が育っていくんでしょう。
―― 内山さんはデータ解析に必要な能力というのはどういうものだと思いますか?
内山 一番大事なのは地頭ですね。地頭がよければ知識はあとからいくらでも入れられるので。じゃ、地頭ってなにかというと、「発想力」「仮説をつくる力」「ロジカルシンキング」。この3つかな。
ソーシャルの人が政治の人が言っていることを理解して学ぶのは、ロジカルシンキング。「でもさ、こういうときってこういうふうにFacebookを使ったら投票率が伸びるんじゃない?」というのは「発想力」と「仮説をつくる力」の組み合わせ。仮説がないと何も生まれないですし、発想力が乏しいと面白い仮説は生まれません。