2000円のサプリメントの場合
武藤氏は続いて、売り方モデルのテスト事例を2つ紹介。ひとつ目は、健康食品のサプリメント商材、本品2000円、1か月分を売るケース。売り方は以下の3パターンである。
(1)無料で申し込める(ツーステップ)
(2)500円で申し込める(ツーステップ)
(3)2000円で申し込める(ワンステップ)
CPA(Cost Per Action)を見ると、(1)無料モデルは850円、(2)500円のモデルは2500円、(3)ワンステップの場合は2000円イコール本品購入となり、CPAは1万4000円。その後、ツーステップモデル(1)(2)では、それぞれステップメールで本品購入へと引き上げていく。その引上率は無料モデルが13%、500円のモデルは27%となった。

この3つの売り方モデルをCPO(Cost Per Order)で見ていくと、(1)無料が6500円、(2)500円が9000円、(3)2000円のモデルの即注は1万4000円という結果となった。無料と即注では約2.14倍の差が出る。武藤氏は「採算性、拡大性を評価していくと『無料のモデルが一番いい。500円でも戦えるけれど、規模に問題がある』という結果が得られた」と説明する。
6000円の美容ドリンクの場合
続いて武藤氏は、さらに高額の美容ドリンクの事例も紹介。1日1本として1か月分、本品30本6000円のケースである。
(1)無料で申し込める(ツーステップ)
(2)500円で申し込める(ツーステップ)
(3)6000円で申し込める(ワンステップ)
結果を見ると、CPAは(1)無料が1000円、(2)500円は4500円、(3)ワンステップは5万円。ツーステップモデル(1)(2)のその後の引上率も、無料は6.5%、500円は18.5%。しかし最終的に見るのはCPOだ。無料は約1万5000円、500円は約2万4000円、ワンステップは5万円となり、採算性、拡大性も加味して評価しても無料が圧倒的に強い結果となった。

現在のネット通販は、お客様と出会いにくくなっている
講演の最後に、武藤氏はこれらの事例について次のようにまとめた。
まず、ビジネスを行ううえでどこまで採算がとれるのか、拡大できるのかを検討すると、ネットではやはりツーステップモデルが強い。一方ワンステップは「オフラインでは強い」と武藤氏は言う。「新聞広告で高額商品が売れている。けれども、ネットでは(ワンステップは)なかなか勝てない。ツーステップモデルは東京のナショナルクライアントも最近いろいろ出してきている」。

また今後の売り方モデルについて次のような見解を述べた。「直近のトレンドではCPAはよくない。上がってきている。一方、引上率は向上傾向にあり、よってCPOは横ばいというのが2013年の状況だと思う。これは、以前よりもお客様と出会いにくくなっている、つかまえにくくなっていると考えることができる。しかし、一度お客様をつかまえると、ネットでモノを買うことへのハードルが下がる。引上率はアップ傾向にあるということは、お客様との接点開発が非常に大事になる。そういう意味では、ネットと相性のいいツーステップモデルというのは、今後も武器になると思っている」。
武藤氏は、「課題を抱えている方はぜひ一度こうした売り方モデルを一度見直して、テストして、結果を見ることをおすすめします」と述べて、講演をしめくくった。
次回は、売れるネット広告社 加藤公一レオ氏による、アップセルを可能にするランディングページの仕組みについての講演を紹介する。