デザインではなく、仕組みにフォーカスしたランディングページ改善法
「アドテック九州」2日目に開催されたセッション「これが通販王国、九州が誇る最強ダイレクトマーケティング!」に二番手として登壇した加藤公一レオ氏は、3年前に売れるネット広告社を福岡県福岡市に設立。やずやをはじめとして、花王、JIMOS、森永乳業、ライオンなど、メーカー系の通販の多くを手がけている。
加藤氏は「100%確実に効果と売上を上げるランディングページの仕組み」と題して、13年にわたってネット通販に特化したネット広告のコンサルティングを手がけてきた経験と、その中で何百回となく実施したスプリットランテスト(A/Bテスト)の結果から得られたデータをもとに、明快な語り口で講演を行った。
ポイント1:ランディングページをフォーム一体型にして遷移を短くする
通販会社のネット広告から遷移したランディングページを見ると、大きな問題があると加藤氏は言う。それは商品の「申込み」ボタン押すと、9割がたカートシステムへ遷移するようになっている点だ。「カートシステムは失敗します。ネット広告はひとつの商品を売るためにあるのに、なぜかご(カート)を渡すのか」。
このカートシステムを調べると、多くの場合、ランディングページからの遷移が8つある。しかし遷移するほどに人は離脱していく。この遷移を短くしなければならない。まず、ランディングページをフォーム一体型にして、そこですべての情報を入力させる。記入したら確認ページに遷移し、確認ページで「OK」したら完了ページに遷移する。これで8つの遷移から3つへ短縮することができる。
なぜ、ネットではアップセルがうまくいかないのか
加藤氏は「アップセルほど重要なものはない。特に九州の通販では、アップセルを制した会社が通販を制しているというくらい重要」と語る。
「アップセル」とは、利用者が申し込もうとしている商品よりも、上位の商品を売ること。化粧品や健康食品の通販会社の多くが無料サンプルを提供しているのは、購入へのハードルを下げるため。無料サンプルをもらうために通販会社に電話をかけると、コールセンターでは、利用者の住所や電話番語を聞いたあとで、必ず聞くことがある。それは「お客様、よかったら無料サンプルだけじゃなくて、本商品も買いませんか?」というアップセルトークである。1個買いをしようとしている人にはまとめ買いを、ファンデーションを買おうとしている人には美容液を勧めるのである。
しかし「ネットの世界ではアップセルは大失敗してきた」と加藤氏は言う。それはなぜか。「オフラインでは、コールセンターで人間が対応する。しかし、ネットで対応するのはシステム。HTMLで書かれたページであり、これだけでも(ネットは)不利」。
さらにネットではアップセルのやり方が間違っていると指摘。通常のランディングページでは、ページの一番下にアイコンがいくつも羅列される。「無料サンプルの方はこちら」「本商品の方はこちら」「1個買いの方はこちら」「定期購入の方はこちら」といった具合だ。しかし、「ネットマーケティングの大原則として、(利用者に)選択肢を与えるとコンバージョン率はがた落ちする」と加藤氏は言う。