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MarkeZine Day 2013 OSAKA(AD)

O2Oを実現するメールマーケティングの3ステップとは?

 6月28日(金)に開催したMarkeZine Day 2013 OSAKAでは、消費者の行動をいち早く捉えて成果につなげるさまざまな手法や最新事例を紹介。オーソドックスながら、O2O戦略を強力に推進できる手法として再び注目を集めているメールマーケティングについて「すぐに使える!O2O戦略を加速させるメールマーケティングの実践ステップ」と題し、エクスペリアンジャパンの北村伊弘氏に事例を交えて講演いただいた。

O2O戦略にメールマーケティングを活かす

 One to Oneのマーケティングを実現する代表的な手法として浸透しているEメール。今、システムの進化やO2O発想の広がりによって、再び注目を集めている。

エクスペリアンジャパン マーケティング部
プロダクトマーケティンググループ マネージャー 北村伊弘氏

 世界40か国に1万7,000人のスタッフを擁するエクスペリアングループは、企業や個人の信用情報調査やそのデータ提供、金融関連企業を中心としたリスク分析や意思決定のためのデータ分析、そしてマーケティングテクノロジーサービスをグローバルで展開。日本では、エクスペリアングループに属していたエイケア・システムズ、アルトビジョン、およびExperian Japan K.K.が統合して昨年11月にエクスペリアンジャパンが誕生した。現在、国内大手企業を中心に5,000件以上の導入実績を持ち、特にメールマーケティングにおいて厚い知見を有している。

 最新のメールマーケティング事情について、「O2Oは一つの大きな流れ。しかし、本格的に始めようとすると解決すべき課題が多く、実はハードルが高い。そこで当社としては、まずはメールマーケティングを活用するということ、そして3つのステップで段階的に実現していくことをお勧めします」と、エクスペリアンジャパン マーケティング部 プロダクトマーケティンググループ マネージャーの北村伊弘氏は提示する。

O2O施策をメールで推進する3ステップ

 「すでにメールマーケティングに本格的に着手している企業の中には、例えばECとリアル店舗との連動など、O2O施策をメールで推進することができている企業も多くあります。これから始めようと考えている企業には、次のような段階的なアプローチをお勧めします」と北村氏。

 「まずステップ1は、アナログのダイレクトメールからデジタルのEメールに変えること。当然コスト的なメリットが一番大きいですが、物理的に可能な施策の範囲が広がり、先に述べた“顧客にとってタイムリーなリーチ”が実現できます。ステップ2では、より本格的なメールマーケティングに着手します。嗜好に合わせてセグメントし、一人ひとりのニーズにきめ細やかに対応します。そしてステップ3では『イベントドリブンメール』=消費者の何らかのアクションに呼応する形でメールを送ってコミュニケーションを深め、エンゲージメントの強化を図ります」

すぐに使える!O2O戦略を加速させるメールマーケティングの実践ステップ

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コスト削減だけじゃない、メールマーケティングの検証からわかること

 最初のステップの事例として、北村氏は全米で550店舗を展開する衣料ブランド「タルボット」の日本支社タルボットジャパンを挙げる。国内では38店舗とECを展開する同社は、DMでキャンペーンを案内し来店率の向上を図っていたが、コストがかさみ発送の頻度を高められないのが課題だった。そこでEメール活用によるコスト削減に着手した。

 当然、DMはメールに比べて送料や印刷料などがかかり、さらに頻度の分だけコストに開きが出てくる。Eメールでの案内に切り替えたところ、同社では大幅なコスト削減およびアプローチ頻度の増加が実現した。だが、成果はそれだけではない。メールアプローチに着手し、その結果を分析したことで「メールを送る最適なタイミングが分かるようになりました」と北村氏は語る。

以下、講演資料より抜粋

 「キャンペーンの案内が早いと、開始までに買い控えが起き、案内が直前だと来てもらいにくい。実は、案内のタイミングが来店や購入を後押しする重要なポイントでした。検証の結果、同社における最適なタイミングは、キャンペーン開始2日前だと分かりました。店側にとって売上が増えるだけでなく、タイムリーなメールが届くことはお客様にとっても嬉しいことであり、それは顧客満足の向上にもつながるのではないでしょうか」と北村氏。

 ちなみにこれを実現するには、タイムリーに大量配信ができ、加えて確実に届けることができるエクスペリアンジャパンの MailPublisher のようなメール配信システムの選定が重要になる。

 「このケースでは2日前が最適という結果になりましたが、扱う商材やお客様の特性などによりその数字は大きく変動します。大切なことはその検証を行うことなのですが、これをDMでやるにはコスト面が心配です。その点、メールはDMに比べかなり低いコストで実現できるため、最適タイミングの検証を行うにもメールが適しているといえます」

きめ細かいセグメントで、顧客にぴったりのメッセージを配信

 次のステップであるセグメンテーションメールについて、引き続きタルボットジャパンの事例が挙げられた。Eメールでの案内を導入しタイミングを最適化した後、同社ではメール配信のセグメンテーションに着手。一つは、メルマガ会員登録時に「よく利用する店舗」を確認し、特定店舗の情報を送る際にはその店舗を利用している人にのみ送るというアプローチ。もう一つは、顧客が貯めているポイント数に応じたアプローチだ。ポイントが十分にある人には交換商品の案内、あまり貯まっていない人にはポイント蓄積を促進する内容とした。

 その結果、メルマガをきっかけに来店し購入に至った率が7%上昇。特に、同社が優良顧客と位置付けている層の来店そして購入率は30%も上昇した。他にも、化粧品メーカーのドクターシーラボの事例が紹介された。

 「メールの効果を高めるには、タイムリーな配信やセグメンテーションのほかに、動きのあるメールや位置情報の活用で興味を喚起するなどの工夫が挙げられます。当社の MailPublisher に備えている、商品の発売や開店までをカウントダウンする『カウントダウンタイマー』は、クライアントにもよく取り入れられています」

すぐに使える!O2O戦略を加速させるメールマーケティングの実践ステップ

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顧客とのエンゲージメントを強化する“おもてなし”メール

 最後のステップ「イベントドリブンメールによるコミュニケーション強化」については、インナーウェアメーカーのピーチ・ジョンが取り上げられた。店舗、カタログ通販、ECにて販売を行っている同社では、元々Web会員やメルマガ会員にメールを送付していたが、一斉に送る販促的な内容か、会員登録時の御礼メールやEC利用時の明細メールなどの事務的な内容に終始していた。

 そこで同社は、メールでも“顧客へのおもてなし”を図れないかと検討。「同報でも事務的でもない、セグメントを細かくしたコミュニケーション目的のメールを展開し、エンゲージメントを強化することをテーマとしました」と北村氏。

 購買情報からサイト内での行動、メルマガのリンクのクリック率など、同社が扱う顧客データは膨大だ。そこでまず、これらのデータを統合できるキャンペーンマネジメントシステム(CMS)を導入。顧客情報の管理者と、マーケターであるメルマガ運用者がそれぞれ適切にデータを扱える環境を整えた

 「きめ細かいアプローチが可能になったので、カタログを請求した人へのフォローメール、バースデーメールなど、CMS導入後に30ほどの施策が増えましたが、工数は逆に減っています」と北村氏は語る。

O2Oを促進するシームレスな会員システム運用とは?

 さらにピーチ・ジョンでは、以前から展開していた会員組織「Club MOMO」をO2O施策実現の中心に据えている。購入額に応じてステータスが上がる仕組みだが、店舗、カタログ通販、ECのどのチャネルで購入してもポイントが集約されており、このようなオンラインとオフラインをつなぐ工夫が、同社のO2O施策に寄与している。例えば、ある顧客が店舗で購入すると、基幹データに購入履歴が蓄積され、それをCMSが参照して自動で来店の御礼メールを送るといったシームレスなコミュニケーションに取り組んでいる。

 「店舗のキャンペーンを行う際にはその店舗での購入履歴がある人に、新店オープン時には周辺店舗を利用したことのある人にメールするなどのピンポイントなO2O施策の実施や、メルマガのシナリオを複数用意してABテストを行うことも容易になりました」

 エンゲージメント強化を目的にしていたものの、結果的にメールによるコンバージョン率も8%上昇。「顧客との関係強化に主眼を置くと、必然的に売り込み色は薄まります。しかし、お客様のアクションに反応する形で自然なコミュニケーションをとれれば、必然的にエンゲージメントが高まり、最終的に売上にもつながっていきます」と北村氏は分析する。

 また、CMS導入の相談においては、過剰なメール配信によるネガティブな印象をメール数の制限で払拭したいといった要望も多いという。

 「このような自動的に配信されるメールを実現するには、基幹システムやDBとの連携が必要で、ともすると大規模な開発になりがちです。CMSを導入することで、色々なDBとメールなどの施策をつなぐことができるようになります。シナリオに基づいた自動的なメール配信を可能にするだけでなく、その検証や改善の作業の手助けにもなります」

 結局、どの取り組みも顧客満足という点に行き着く、と北村氏は語る。「O2Oといっても、お客様自身はオフラインなのかオンラインなのかということはそれほど意識しておらず、自らの要望を満たしてくれるものであれば何でも構わないはずです。今日お話ししたタイミングを図ること、セグメンテーションすること、そしてコミュニケーションの強化というのは、つまるところ顧客視点に立った取り組みであるといえます。O2Oの本質というのも、実はそういうところにあるのではと感じています」と講演を締めくくった。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/08/06 11:26 https://markezine.jp/article/detail/18119