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アドテク活用は広告主だけの話しではない。欧米で注目されるパブリッシャーツールとは何か?


 先日7月17日、ウェスティンホテル東京で、米国のアドテクノロジーおよびデータ・マネジメント会社であるMaxifier主催の「Programmatic Chaos」が開催された。その際に、同社 社長 デニース・カレラさんと同社 アジアパシフィック マネジメントディレクター シャオミン・シャオ氏にインタビューを行った。

パブリッシャーツールって何だろう?

――Maxifier(マキシファイア)が提供する「ADMAX(アドマックス)」は、ディスプレイ広告領域のカオスマップの「Publisher Tools」の枠組みに入っています。パブリッシャーツールはまだ日本では耳慣れない言葉ですが、どのような役割を担うツールなのでしょうか。

ピンク色の箇所にMaxifierが位置しています

デニースさん:ADMAXは、オンラインメディアやアドネットワークの広告キャンペーン改善や広告在庫の最適化を行うことで、パブリッシャー側(セルサイド)の収益最大化を実現するツールです。かつて広告キャンペーンの効果をはかる指標はCPM(Cost Per Mille)でしたが、今では様々な種類のキャンペーンが始まり、CPA(Cost Per Action)やCPC(Click Per Cost)、そしてオークションベースのものなど様々な指標が存在し、もはや人力で最適化するのは難しい状況になっています。

 また最適化をはかれるのは、パブリッシャー側で10~20%だけというデータも出ています。ですから、欧米、そして今急激に伸びているアジア市場の中で、もっとうまくキャンペーンを管理したいという目的から、このような製品が出てきました。

 ADMAXのようなオンライン広告在庫最適化ツールをパブリッシャーが導入すると、広告主側は、キャンペーンの結果を最大化することができます。またパブリッシャー側は、最適化により広告キャンペーンのパフォーマンスを向上させることで、次のキャンペーンの広告予算獲得につながるでしょう。このように両者にメリットが享受できるものといえます。

――米国において、パブリッシャーツールはいつ頃から注目され始めたのですか?

Maxifier社 社長
デニース・カレラさん

デニースさん:米国でも、本格的に盛り上がってきたのは2012年の末頃からです。米国のメディアやアドネットワーク事業者は、今まさに、導入に向けて動き出している最中です。この過去半年から1年間の間で、導入が速まっている状況にあります。

――どんな企業が導入しているのですか?

デニースさん:一例ですが、ADMAXを使っている顧客で英国の新聞社 Guardian(以下、ガーディアン)があります。同社の広告枠ではADMAXを使って最適化をはかり、実際に売上を伸ばしています。

――導入コストはどのように回収できるのでしょうか

デニースさん:実際に導入すると、最初の1か月以内に、キャンペーンのパフォーマンスは10~20%の上昇が見られます。そしてそれ以降も、時間をかけて使っていくことで、さらに10~20%伸びることもまれではありません。

 ADMAXはデータを蓄積していくので、時間を重ねるほど精度が上がっていきます。メディアやアドネットワーク事業者が新しいデータをどんどん入れていくと、それに応じてアルゴリズムの微調整がかかり、より正確なデータがでてパフォーマンスがあがるという仕組みになっています。

日本において未形成の市場をどうやって築くのか?Maxifierの戦略

――Maxifierが日本支社を設立したのは2012年4月。そこから、どのように日本の市場を開拓してきたのでしょうか?

Maxifier社 アジアパシフィック
マネジメントディレクター
シャオミン・シャオ氏

シャオ氏:日本ではまだ存在しないアドテクノロジーのソリューションを紹介するにあたって、1年目で最も重要なことは成功事例をつくることです。特にこのツールは特殊なので、たくさんのクライアントにツール紹介するよりも、まずは特定のクライアントにきちんと使っていただき、リターンを得る成功事例を作ることが、次のクライアント獲得へつながっていくと考えています。

 「Programmatic Chaos」では、リクルートに成功事例を紹介していただきます。先方と弊社のチームで9か月を費やして、実際にツールをつかっていただき、最終的にリターンがあがりました。日本ではリクルートや何社かのクライアントが、新しいテクノロジーをいち早く導入して、使いこなしています。私たちは基本的に、まずはリクルートなどトップレイヤーの企業で成功事例をつくり、次のクライアントへつなげていくアプローチをとっていきます。

 企業の最終的なツールの導入判断基準は売上です。ツール導入・運用のコストがどれだけ必要で、何倍の売上があがるかという点が一番の評価ポイントです。基本的に弊社のソリューションをつかって、売上が増加しなかったクライアントはいないですね。

 アジアや日本の企業では、欧米ほどしっかりと最適化を行っている会社はほとんどありません。欧米では弊社のツールで10~20%のパフォーマンスがあがるので、日本とAPACの場合はさらに高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/07/24 10:43 https://markezine.jp/article/detail/18168

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