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日本初のネット選挙運動、各政党のメールマーケティング施策はいかに?

2013/07/24 13:00

各政党のメルマガ実施状況

 各政党のメルマガ実施状況をまとめたところ、社民党、みどりの風、新党改革以外はすべてメルマガを実施していた。ただし、すべての政党がテキスト形式で配信しており、HTMLメールの配信は見当たらなかった。

 ここで注目したいのが、みんなの党だ。みんなの党は、全有権者を対象とせず、党員(一般会員とネット会員の2種類/要年会費)のみにメールを配信していた。その点で唯一他の政党と施策が異なっていた。

初回配信日とメルマガ配信頻度

 実際の配信状況を探ったところ、共産党は、選挙期間中にメルマガを配信しなかったようだ。一方で、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークは活用していた。

 日本維新の会は、選挙公示日である7月4日に、政党ウェブサイトのトップで、大きく習字体で「メールマガジン始めました。」と銘打ち、募集をかけていた。しかしながらメルマガの初回配信は7月15日となり、11日も間が空いていた。

 最もメルマガ回数が少なかったのは、みんなの党で計1回のみ。みんなの党は前述のとおり、党員のみを対象としてメールを配信。すでに党の活動に賛同していることが前提にあるためか、メルマガに対する情報発信には消極的だった。

 一方で突出して回数が多かったのは「生活の党」(20回)。与野党含め、現政党で圧倒的に配信回数が多かった。選挙期間は17日間であり、1日に1回以上配信していたことになる。

One to Oneマーケティングを意識したみんなの党

 次に、Fromアドレスの表記名とともに、初回配信時のメルマガの件名を比較してみた。比較して目を引くのは、みんなの党だ。件名に送り主の名前が差し込まれ、対象者が党員ということもあってか、One to Oneマーケティングを意識している様子がうかがえる。

 自民党、民主党、日本維新の会、みんなの党は、どの党も件名は当たり障りのないものであった。自民党は「NewsPacket」、民主党は「DP-MAIL」など、メルマガの媒体名や政党名の訴求に留まっていた。一方、公明党および生活の党については、メッセージ性を取り入れていた。

各政党のコンテンツを比較検証

 各政党のコンテンツを検証したところ、どの党も主張すべきトピックが多すぎて、テキスト形式だと、情報の羅列という印象が拭いきれなかった。テキスト形式で効果的なメールマーケティングを実施するのであれば、情報を一点に集約化させて、配信時点で最も伝えたいことだけを掲載したほうが、党の活動状況が明確になるだろう。

 それを唯一実践していたのが生活の党であった。メルマガの件名をみれば一目瞭然であるが、メルマガで伝えたい趣旨がはっきりと伝わり、受信者にとっては分かりやすいといえる。

 テキストメールは制作の手間がかからず、情報量の制限もない。また、容易に情報拡散が可能というメリットがあるが、それゆえに、情報が多すぎて伝えたいメッセージが薄れてしまうリスクが隠れている。生活の党は、そのリスクをうまく回避し、テキストメールで効果的なメールマーケティングを実施していた。

 ネット選挙が解禁され、情報をより伝えやすい環境は整備された。ただ、その環境をうまく利用していくことは、これからの課題と言えるだろう。

日本のネット選挙運動への課題

 米国の大統領選においては、オバマ大統領がデジタルマーケティングを駆使し、一般有権者からの小額献金を600億円以上も集め、その最大チャネルがメールであった事が知られている。オバマ陣営のデジタルマーケティングチームは総勢200名、メールマーケティングだけでも18名の専任スタッフが集結している。

 今回の参院選の結果を見る限り、日本においては、選挙活動におけるメールマーケティングは、まだ殆ど本格的な取り組みはされていなかったようだ。メールは、有権者に政党の意思や情報をダイレクトに伝えることができるツールであるが、それらを効果的に使いこなすためには、「コンテンツxタイミングxクリエイティブ」における緻密な設計とABテスト等の地道な検証作業によるさらなる改善が必要と言えそうだ。(検証:エクスペリアンジャパン メールマーケティング・エバンジェリスト 吉澤和之氏)

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