SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

イベントレポート

データドリブン実践の裏にビジョンあり
Twitterのメールマーケティング事例【Email Design Conferenceレポート】

「!」や「?」など細かい点まで配慮した件名テスト

 Mircea氏がTwitterのメールマーケティングにテコ入れをして約1年半。その間、大きくはデザインのリニューアルとコンテンツの見直しを実施した。モバイルフレンドリーなレイアウトを取り入れ、画像サイズ、テキストサイズをモバイルに最適化し、コンテンツについては、ユーザーが興味のありそうなニュースをトピックとして抽出し、それぞれ他のユーザーがどんなツイートをしているのかを紹介する形とした。ただしこの形に至るには、何百パターンものABテストが繰り返されている。

 そもそも、Twitterという会社自体、データアプローチを好む会社のようだ。Mircea氏によれば、“データから様々なことを学習し、実験することでイノベーションを生む”文化が企業に根付いているという。

 彼がメールマーケティングの最適化を実施する上で最初に実施したのは、ユーザーコーホートの抽出だ。まず全体の1%のユーザーを、リージョンなど特定の条件に従って抽出する(※コーホートとは共通した因子を持ち、観察対象となる集団のこと)。

 そして3か月間、そのユーザーであらゆるテストを実施する。そして次の3か月間で、また1%の異なるユーザーを抽出して、同じテストを実施。この長期間に渡るスプリットテストによって傾向値を把握し、最適な施策を決定していく。この検証方法によって、データドリブンマーケティングを実践した。セッションでは、その具体的な例が示された。

 例えばあるユーザーがTwitterに誰かを招待した場合、A:”Join me on Twitter” を標準パターンとし、新しくB:”Invitation to connect on Twitter”またはC:”(ユーザー名) sent you an invitation”の3つのパターンでどれが最も効果が良いかを検証。すると、以下のような結果となった。

 この結果、Cのパーソナライズされた件名が最も効果が高く、数値にするとAに比べ、クリック率、開封率、サインアップ率ともに向上した。こうしたテストを繰り返した結果、Cの効果が最も高いことが分かり、それ以降、招待メールは”(ユーザー名) sent you an invitation”を採用。1%で試したユーザーの結果をもとにすべてのユーザーに適用した。また、他にも下記のように、かなり細かいABテストまで実験している。

Twitterの件名ABテスト例
  • Discover more on Twitter! VS Discover more on Twitter
  • Do you know Jack on Twitter? VS Jack is now on Twitter
  • Jack and John have tweets for you VS Top tweets

 いずれも、前者がWinとなっているが、「!」や「?」をつける、つけないといった細かい点にまで気を配るのはなぜか。Mircea氏は、「件名はつねに開封率を1~10%程度向上させる力を持っている。そして、最も簡単に実験できる。当然そこに力をいれるべき」と語る。

 一方で、単純に開封率やクリック率などのメールによる効果を鵜呑みにしてはいけないという警鐘も鳴らす。検証期間中に“ある写真について(誰か)が言及したパターン”と、“ある写真を(誰か)がタグ付けしたパターン”を件名でテストしたところ、後者のほうが開封率、クリック率ともに良い結果をもたらした。

 しかし、“ログイン率”を1か月間みてみると、言及パターンのほうが多くログインされていたことが分かった。その理由として、モバイルの影響が語られている。

 「つまり、言及パターンのメールを受け取ったモバイルユーザーは、その時点ではそれほど興味を示さないものの、1か月という期間でみれば、多くログインする傾向がある」ということだ。また、「彼らの割合が多いことはすでに分かっていた。そしてこれからも増えていくことは確信している。モバイルユーザーとの長期的なエンゲージメントを築くことが最善の答えだと考え、言及パターンを採用した」そうだ。

 Mircea氏はこれを「Data vs Vision」と表現する。目に見える結果(データ)を追うだけでは、やがて落とし穴にはまることが多い。今後何に注力していくのか、重要となる領域は何か、明確な“ビジョン”を持たなければ、データを生かしきることはできない。データドリブンなマーケティングを実践するのであれば、まずはビジョンがあるべきだ。

次のページ
開封率やクリック率だけに惑わされるな!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
イベントレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

チーターデジタル株式会社(チーターデジタル)

1999年12月設立。グローバルでクロスチャネルマーケティング支援を行うチーターデジタルグループとしての強みと、日本国内での累計5,300社以上の取引実績を生かし、マーケティングサービスを軸に事業を展開。マーケティングオートメーションやメールマーケティングソリューション、およびそれらに関連するコンサルティングサービ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

吉澤 和之(ヨシザワ カズユキ)

経済誌記者、広告代理店でのマスプロモーションを経て、現エクスペリアンジャパンでマーケティングに従事。
メール関連のプロダクト戦略全般に携わる。また、エバンジェリストとしてメールマーケティング市場の啓蒙活動に取り組み執筆・講演多数。
執筆記事

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/11/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18810

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング