「ニコニコ動画」から生まれる「ニコンドライフ」(苦笑)
西村氏はまず、「YouTubeは育ての親」だとして、先ほどのオープニング映像にあるような対抗意識は持っていないことを笑いながら明言した。そして、自分や周りの友人たちは、テレビを見たり新聞を読むことがほとんどないとして、既存のメディアに触れない人へ向けて、「ネット上に新しい生活の場をつくる」ことがニコニコ動画の目標であると語った。西村氏は、ニコニコ動画から生まれる一体感やユーザー同士が突っ込みあうことによって生まれるコミュニケーションを「セカンドライフ(第二の人生)」ならぬ「ニコンドライフ」と名づけることを、やや苦笑しながら発表。企業として利益の追求は大事だが、あくまでも文化的なものを生み出す場として、新しい動画コンテンツの想像や双方向コミュニケーションの進化の方向を推し進めるという。
そのうえで、今回の「ニコニコ動画(RC2)」へのバージョンアップは、ニコニコ動画として初めの前向きな、面白いことをするためのバージョンアップであることに触れ、RC2の新機能紹介を始めた。
新機能と新企画がもりだくさんのRC2
新機能のひとつ目は「カテゴライズド・トップページ」。動画を分類する「音楽」、「アニメ」、「ゲーム」などのカテゴリごとにトップページを用意し、画面右側の、タグ、最新情報、ランキング情報などの表示がカテゴリごとに変わるようになっている。
動画再生画面もリニューアルし、操作ボタンの名称は英語に変更。さらに、動画投稿者が禁止したい単語を「NGワード」として登録したり、特定のIDからの書き込みを禁止することができる「NG ID」という2つのNG設定が可能になった。また、再生画面の上にある「ニコニコニュース」のスペースは、本来広告スペースとして一番おいしい場所のはずだが、ここは「広告バナーとして使用しない」と明言。現在動画を見ているユーザーに対してリアルタイムでしか閲覧できない緊急ニュースの配信に、このスペースを利用する。同一物理時刻での同一情報の共有を実現させる、この「ニコニコ割り込み(ニコ割)」機能は、発表会前日にテストを行い、ユーザーの反応は好意的だったという。
続いて、動画投稿者だけが利用できる機能として、ニコニコ動画の表現力や機能を高める「ニコスクリプト」についても発表。特殊なコマンドによって、窓のように動画再生画面を一部だけ見せたり、別の動画にジャンプしたり、ほかのユーザーが投稿したコメントの一部を一斉に置換して違う言葉に差し替えることなどが可能になった。また、「投稿者専用コメント」機能によって、大量のコメントが投稿されても消えない、表示期間を設定できる特殊なコメント投稿なども可能になり、動画投稿者自身が、ほかのユーザーに対してメッセージを発信することができる。こうした投稿者専用コメントがついた画像の閲覧は、サービス開始当初は、プレミアム会員と投稿者本人のみに限定して提供する。
また、現在準備中のプロジェクトとして、「国際ニコニコ映画祭」を紹介。審査委員長にヴィジュアリストの手塚眞氏、審査委員にはニコニコ動画を代表するユーザー、ゲスト審査員としてニコニコ動画と接点がない知識人・著名人を起用すると発表。会場には手塚氏本人が登場し、これまでポリシーとして審査員は受けてこなかったが、今回自らその掟を破って審査委員長となった意気込みを語った。
さらに、海外からのアクセスが増えていることを踏まえて海外進出の計画についても紹介し、日本発のアニメが「ジャパニメーション」として受け入れられていることから、日本発のネットサービス「ジャパネットサービス」として、まずは台湾向けサービスを10月18日から開始すると発表。日本国内のユーザーですらさばけない状況なので、大量のアクセスが発生しそうな英語版は避けたことを明らかにした。
これらの新機能は今後3段階に分けて投入され、その第一弾として10月10日に、投稿者専用コメント、ニコ割、カテゴライスド・トップページをスタート。続いて10月18日にニコスクリプト、そして、11月にNG設定、ニコニコニュースの提供をスタートする。その後の予定としては、「ニコニコ動画(RC2) サービスパック1」を12月にリリースし、ニコスクリプトの機能強化や、動画編集ソフト(株式会社インターネットとの共同開発)の提供、その他の機能のバージョンアップを実施するという。最後に西村氏は、ニコニコシリーズの方針として既存のネットサービスとまったく同じものはやらない方針であることを明らかにし、今後はさらにシリーズを多様化し、新たなサービスを展開していくと結んだ。
続いて、質疑応答に入り、ユーザーとメディア双方から質問が寄せられた。