自分で自分の首を絞めることになっても、とことん使いやすいスマホサイトを
スマホからのアクセスが5割を超えるECサイトもめずらしくない昨今。「北欧、暮らしの道具店」のスマホサイトを、「自信を持って見せられるものができた」と青木さんは言う。
「そう遠くない将来にスマホとPCのアクセス比が『8:2』になるだろうと、2013年は恐れおののいていました。スマホではコンバージョンレートも、購買単価も、買い回りも落ちる可能性がある。スマホの普及は、コンタクトポイントが増えるという意味ではいいのですが、そういった副作用もあるわけですね。
スマホサイトは自信を持って見せられるものができたのですが……、できてからスマホ率がまた10%も上がったので、自分で自分の首を絞めてるっていうか(笑)。でももう、不可逆な状況なので、とことんまで行き着いてしまおうと。
スマホを研究していてこわいなと思ったのは、スマホで能動的にブラウザを開く機会が激減していること。そうなると、『北欧、暮らしの道具店』を見るという目的を持ってブラウザを開いてもらわなければならなくなる。それが難しいなら、スマホのホーム画面に入れてもらうしかないなと。
独自のアプリはまだ用意してないですが、環境に左右されずに自分たちのやりかたを貫くために、アプリを持つというのは重要なことだと思っています。そういう意味でも、APIに対応している『カラーミーショップ』ならいいものが作れるだろうと、心強いですね」
質の高いアクセス増で、低CVRを凌駕する
メディア化、メーカーとしての商品開発、スマホ対応の先にあるべきECサイトの姿とは。
「最近は、高PV低CVRでいこうと言っています。スマホからのアクセスでCVRは下がっても、それを凌駕するだけのアクセスがあれば何の問題もない。『北欧、暮らしの道具店』は、年間で1.8倍ずつお客様が増え、CVRは微減傾向にありますが、ビジネスとしても1.6~1.7倍ずつ伸びているんです。
CVRを高めようというのは、買おうかどうしうようかと、ちょっと気持ちがグラグラしているお客様の背中を押す行為ですよね。CVRを高める施策が、未来の売上につながっていくのかどうか。業種にもよると思いますが、僕らのような娯楽を売っているビジネスでは、楽しみに来ているお客様に後悔するかもしれない買い物をさせることが、本当にいいことなのかと思うのです。
そういうリスクのある施策よりも、お客様からの支持を増やしていって、低いCVRを凌駕する、質の高いアクセス数を増やしていこうと考えています」