イベントの記録をどう活かすか
それでは、様々なイベントが発生した際にアクセスを記録することで、どう行ったことを計測できるか、という例をいくつか見ていくことにします。
(1)リンクの位置による効果測定
リンクを埋め込むAタグにonclickを設定することで、リンクがクリックされたことを記録できる事は、すでに紹介しました。これはたとえば、あるページから、同じページへのリンクが2カ所以上存在していて、そのどちらがクリックされているのか、といったことを測定するのに利用できます。
何かしらのキャンペーンページへのリンクが、バナーとテキストリンクの両方で同じページに貼られている、といったことは良くあることだと思います。その場合、果たしてどちらが多くクリックされているのか、ということは、両者のリンクのクリックを、それぞれ異なるトラックIDで記録することで可能になります。

こうすることで、単にリンクがどれだけクリックされたか、ということだけでなく、どこにあるリンクが効果的か、ということまでも解析することができるようになります。
(2)外部リンクのクリック率の測定
過去の連載でも解説していますが、通常のアクセス解析では、自分の管理しているサイト内のページ遷移は追うことができますが、サイト外へのリンクがクリックされたかどうかを記録することは困難です。しかし、Aタグのonclickは外部サイトへのリンクであっても、問題なく動作しますから、そこにアクセスの記録を仕込んでおくことで、外部へのリンクも簡単に記録することができます。
しかも、リンクごとに別の名前(仮想ページ名)を指定しておけば、たとえば広告をどこに貼るとよりクリックるのか、複数の広告を並べる場合に、どう並べるのが効果的か、など、様々なことを知ることができます。

このケースも、リンクにonclick要素を仕込むだけですから、簡単に設定することができます。
また、外部リンクがたくさんあって登録するのが面倒な場合は、自動的に外部リンクにurchinTrackerを仕込んでくれるスクリプトを公開している方もいます。
参照サイト: ga-external.js
(3)サーバとの通信のない行動を測定
最近のウェブアプリケーションは、ページの動的な書き換えによって、サーバとの通信をせずに画面の内容を切り替えるケースをよく見かけます。たとえば、以下は「はてな」のトップページですが、ページ上部にある「キーワード」「人力検索」「Amazon」といったタブの切り替えは、すべて読み込み済みの内容をJavaScriptで切り替えるだけで行われており、サーバへのアクセスは行われません。


こうしたサーバとの通信のないアクセスは、サーバ側には当然ログは一切残りませんし、JavaScript以外では記録することが不可能です。
そもそも、こうした切り替えはJavaScriptで行っている場合がほとんどですから、そのプログラムの中で、ついでにurchinTrackerを実行するのがもっともよい方法です。そうすると、どうしてもJavaScriptの知識が必要になってしまいますが、おそらくその機能を開発したエンジニアに手伝ってもらう事で可能になるでしょう。
(4) Ajaxアプリケーションのトラッキング
(3)では、サーバとの通信が無い場合でしたが、サーバとの通信がある場合でも、Ajaxなど、ページ遷移を伴わない通信が行われた際にも、urchinTrackerを使って記録することは可能です。なぜなら、それらのアクセスはJavaScriptを利用して行われており、JavaScriptが利用されているなら、その中でurchinTrackerを呼び出すことは簡単だからです。
サーバとのアクセスがあれば、サーバ側のログにその記録は残るので、そちらから解析を行う事も可能ですが、すでにGoogle Analyticsを利用している場合は、JavaScript側でurchinTrackerを呼び出して記録を行えば、すべての挙動を記録することができるでしょう。
(5) Flash内での挙動を記録
Flashムービーを使ったコンテンツを提供している場合は、Flashムービー内でクリックされた、画面が書き換わった、といったアクションも記録したいかもしれません。Flashムービーからは、そのムービーが埋め込まれたページ内で用意されているJavaScriptの命令(関数)を呼び出すことが可能なので、urchinTrackerを呼び出すこともできてしまいます。それを利用すれば、Flash内でのアクションも、簡単に記録することができます。