推移グラフで何がわかる?
時系列にそって話題の量と質を見ると、大雑把にキャンペーン効果を把握出来る。推移グラフに関しては第2回 で触れている。第2回の図1では、資生堂TSUBAKIの話題量の大きさとその関連語から、どんな話題がどれだけインパクトがあったかが見てとれると思う。
縦軸がエントリー数。横軸が時間(週)。関連語表は、それぞれの月における黒烏龍茶に関して書き込まれているブログに出現するキーワードの表。頻度の多い順に並んでいる。青でハイライトした関連語は脂肪吸収に関するもの、赤でハイライトした関連語は食事に関するもの。
黒烏龍茶でも同様の事を行う。ブログクチコミサーチに黒烏龍茶というキーワードをいれ、検索を行うと、図1のようなグラフが現れる。一番大きなピークは、黒烏龍茶が発売された5月16日を含んでいる。その後7月2日週までピークは下がり続け、そのあと安定して語られているようだ。それぞれのCM放映後における言及数は、キャンペーン前に比べてエントリー数を最大で倍程度にしている。
ここでは詳しく述べないが、推移グラフを見るには1つコツがある。話題の量は推移グラフにおいては折れ線グラフとそこから垂直に直線を書き、横軸に交わった線が作る面積と考えられる。一度行ったキャンペーンで(そのキャンペーンにどれだけのコストがかかったかと共に)どれだけの面積が得られるかが、話題量としては重要だろう。
したがって、ピークの高さも重要であるが、ピークの形にも注意すべきである。鋭角のピークは面積が小さく幾ら高くても成功とはいえないかもしれない。一方低くても鈍角なピークだったり、その後一定の話題量を確保しているような推移グラフが描けるなら、それは成功と言える。例えば、黒烏龍茶の場合、CMを打つことで話題量が一定の水準を保っている。多くは何度も同様の広告を打っていると徐々にそのインパクトは減り、ピークが小さくなっていくと同時に全体的な話題量も減っていく。
これまでの調査経験を例にすると、キャンペーンを行なう際に、テレビCMは即効性があり、話題量もとても大きい。一方、公式サイトやブログによるプロモーション、YouTube、SNSなどCGMを利用したマーケティングはテレビCMほどの話題量は得られず、その多くは広まる事無く終わってしまう。
ブログや動画などを使って消費者のクチコミを利用しようとした企画は、期待が大きい割にその効果をあまり得られていない。ただ、いくつかのケースでは、一度あったピークの後、消費者がブログで勝手に広める事で話題量が自然に増えていったものもある。
「診断系」と僕が名付けているマーケティング手法がその1つの例だ。消費者がキャンペーンサイトにおける診断テストでイエス・ノー形式で答えていき、自分がどのタイプかの結果を見るものだ。キャンペーンではないが、最近でいえば、脳内メーカーや顔チェキがそうかもしれない。ブロガーは自分の診断結果を自分のブログに張り付け、友人に広めていく。多くのクライアントでこの診断系で良い効果が得られていた。消費者が一番興味を持っているのは「自分」かもしれない。