先週5月15・16日の2日間にわたり、サイバーエージェントの主催により「Ad Engineering Summit 2014」(以下、AES)が開催された。提供されたセッション数は14、登壇者は総勢約30名。アドテクノロジー業界を牽引する国内外のキーパーソンが集結し、来場者数は約500名にのぼった。
初日の基調講演には海外アドテク企業4社のキーパーソンが登壇
初日の基調講演には、mediba CMOの菅原健一氏をモデレータとし、写真右よりCRITEO社 Mobile VPのジェイソン・モース氏、Aprier社 CEO&Co-founderのチハン・ユー氏、TapCommerce社 Executive Director APACのマーク・ヘール氏、StrikeAd社 Regional Sales Director APACのマリオ・ピロ氏といった、海外のアドテクノロジー企業のキーパーソンが登壇した。
最も印象的かつ可能性を感じたのは、「Fragmentation(フラグメンテーション)」の話しだった。「Fragmentation」とは、デバイスやメディア、そして消費者の好みなどが多様化・分散化し、データを含めてあらゆるものがバラバラになった状態のこと。その断片をつなぎ合わせて、消費者との効率的なコミュニケーション戦略を練り、ビジネス課題を解決していくミッションにマーケターは向き合っている。
現状での各社が行っている様々な取り組みが述べられたが、「マルチデバイスにおける一意特定の精度向上」「プライバシーポリシー」といった今後向き合っていくべき課題に対して、アドテクノロジー領域におけるさらなるイノベーションの必要性が語られた。裏を返せば、これらの課題にイノベーションのチャンスが見いだせるということだ。
“広告x技術”というドメインを日本でさらに盛り上げていく
また、AESの開催に至った経緯について、サイバーエージェント ビジネス事業部 事業責任者の渡邊大介氏は「昨今のインターネット広告業界のキーワードの変化には驚く。DSP、SSP、DMP、プログラマティック、グロースハックなど、新しいキーワードが続々登場し、当たり前のように使われている。この変化は、インターネット広告市場において、主要プレイヤーさえも変えてしまう可能性を秘めている。そしてこの変化の根底には、広告業界におけるエンジニアリングや技術者の重要性が増し、広告業界のキープレイヤーがエンジニアリングに移ってきていることがある。
加えて、総合広告代理店、ネット広告専業代理店にしても、広告に携わる人はどうしてもエンジニアリングやテクノロジーという言葉に対してコンプレックスを抱えがちだ。AESは“アド(広告)”と冠が付いているにも関わらず、参加登録した方で広告関係の方は全の2割に満たない。
我々としては、双方が融合していくことが重要だと考えている。AESをきっかけに、エンジニアと広告に携わる人が互いに混じり合い、“広告x技術”というドメインがさらに日本で盛りあがっていくことに貢献できれば」と語った。
【関連記事】
・グローバルなアドテクノロジー専門カンファレンス「ATS Tokyo 2014」、9月に日本初開催!
・VOYAGE GROUP、アドテクノロジー分野のビッグデータ活用で東工大と産学連携
・サイバーエージェント、アドテク本部設立へ
・クイズでアドテク知識を深めよう、マイクロアドの学習サービス「アドテク・ラーニング」
・オプトが投資育成事業に参入、アドテク&コマース分野にフォーカス