本日7月2日から5日にかけて、東京ビッグサイトで第21回東京国際ブックフェアが始まった。その会場の一角で、角川アスキー総合研究所とTwitter Japanの共同発表会が行われた。
同会場では、Twitter Japanの協力のもと、角川アスキー総合研究所が開発したTwitterのタイムライン上で電子書籍が読めるePubビューワーが発表された。そして本日より、「http://tw-epub.com」にて公開が始まった。既に2万点を超える作品の掲載依頼が殺到しており(KADOKAWA以外の出版社を含む)、特定出版社に限らずオープンに利用できる出版業界のプラットフォームに育てていく。
この技術は、コミック・書籍などのePubデータをツイートに埋め込み、Twitterのタイムライン上で閲覧することができるもの。ほかのサイトへ遷移することなく、コミック・書籍の試し読みをタイムライン内で完結できる。また、購入サイトへワンクリックで遷移でき、そのまま購入することもできる。「tw-epub.com」に保存されたePubデータは、Twitterでのタイムライン埋め込みに対応し、Twitterアカウントを持っていればだれでもePubを埋め込んだツイートができる。
角川アスキー総合研究所の調査によると、年に1冊も紙の書籍を買わない人は約半数、同様に映画館に年に1度も行かない人も5割超。また電子書籍の購入者は9%で、1割に満たないという。一方で、2013年の電子書籍市場は936億円まで拡大している。つまり、1割に満たない電子書籍の購入者が、約1,000億円もの電子書籍市場をつくっているのだ。
発表会の冒頭に登場した、KADOKAWA 取締役会長 角川歴彦(つぐひこ)氏は、現在の電子書籍市場における課題について、「僕たちがやらなければならないことは、年に1冊電子書籍を買う人の割合を50%にまで引き上げること、あるいは年に1冊も紙の書籍を買わない人に電子書籍を読んでもらうことだ」と指摘した。
「かつては出版社や編集者が、好きな本、納得できる本をつくっていれば、自ずと読者がついてきてくれる時代があった。だが、そんな時代は終わった。21世紀型の本作りに必要なことは、どうすれば読者の共感を得られるかという視点だ。いかに読者と共生していくか。感動を共有し、シェアしていくことが非常に重要だと思っている。それを実現する方法は、動画で言えばニコニコ動画であり、YouTubeがある。またSNSという点でいえば、FacebookやTwitterということになるだろう。
今回発表した、革新的な電子書籍の立ち読み技術は、KADOKAWAだけの独占ではなく、広く出版界全体に開放・共有していきたい。今回のKADOKAWAとTwitter社の挑戦に、皆さんもぜひ参戦してほしい」(角川氏)
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