施策の背景とは?
本記事では、贈賞式と併せて行なわれた、「デジタルを活用したブランド再構築へのチャレンジ~50年先のブランド存続のために~」と題したパネルセッションの内容をご紹介します。アワードを主宰するD2Cの篠崎功氏をモデレーターに、受賞企業の雪印メグミルク(以降、雪印)の竹谷和章氏、Z会の伊豆蔵善史氏、審査員を務めたTBWA HAKUHODOの皆川治子氏が登壇しました。
セッションに入る前に、まずは雪印とZ会の受賞作品を見てみましょう。その他の受賞作品や部門が気になる方はこちらのニュース記事をご覧ください。
「ゆきこたん」が生まれるまで
雪印が展開した「オレたちのゆきこたんプロジェクト」は雪印コーヒーの公式ブランドキャラクター「ゆきこたん」をユーザーと一緒に作るというもの。このキャンペーンの背景には、若年層の取り込みという目的があります。実は、雪印コーヒーの主な購買層は40代男性。そのため、20代前半の若年層に商品を浸透させる必要がありました。しかし、ここで大きな課題にぶつかります。デジタルネイティブ世代の彼らには、従来の単一なコミュニケーションでのアプローチが難しいのです。そこで採られた方針が、自分事化して取り入れてもらうコミュニケーション。「僕たちの雪印コーヒー」をテーマに生まれたのが今回の企画です。
キャラクターデザインの
Z会 VS 高校生
Z会が行ったキャンペーン「超難問コロシアム[Z1]」は、難関大学を志望する高校生に向けてZ会が考える「良問」であり、極めて難度の高い問題を出題、学力ナンバー1を決めるコンテスト。「勉強を頑張る高校生にも華やかな舞台を」という想いのもとに実施されました。このキャンペーンの目的は、高校生にZ会について興味・関心を持ってもらうこと・問題や添削の質の高さをアピールすることの2つです。雪印と同様に、Z会でも課題は高校生にどうやって情報を伝えるかでした。そこで同社が取った戦略は「TVや新聞は使わない」こと。全国の進学校の前で高校生に手渡しで挑戦状チラシを配布。また、ターゲットの高校生が使用する電車や駅に広告を設置しました。
その結果、模擬試験形式の予選には66チームの参加がありました。また、ニコニコ生放送でライブ配信した決勝戦の様子は56,305名が視聴(タイムシフト視聴含む、7月21日現在)。コメントも41,989件となりました。高校生が問題を解いている間、同じ問題を特設サイトに掲載し、そのリンク先を表示したところ、問題ページの滞在時間は平均で約10分。視聴者も一緒に問題を解きながら楽しむ番組になりました。また、番組では添削・採点の様子も放送。番組終了のアンケートでは好評価を得る結果になりました。そして要望に応え「超難問コロシアム2014」の開催も決定。高校生とのコミュニケーションを続けています。