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「ネイティブ広告」はブランディング広告の最終形態
新たな広告のエコシステムを目指して議論と実践は続く


メディア自身がもっと意識的にならなければいけない

 「リターゲティング」という言葉が出たところで、議論は次第にメディアと広告の現状へと移っていった。アドテクノロジーの進化によって、ユーザーの行く先々のサイトで広告を表示することが可能になった現在、メディアをめぐる状況はどう変わったのか。ここから新たな議論が始まった。

今田 メディアがこうした問題に意識的にならなければいけないと思う。従来のバナー枠については、ほとんどのメディアが失敗している。

高広 枠をケアしないよね、メディアが。

今田 アドネットワークを入れたらどんな広告が入るかわからない。一方リターゲティングでは、広告に追いかけられると感じるユーザーもいる。自分たちも知らない間にメディアの価値が毀損されてしまった。どういうものを掲載するのか、どういうクライアントなら入れたいのか、メディアにとっては重要なことを、メディアは今まで考えなさすぎだったと思う。

リターゲティングとネイティブ広告は相いれないのか?

 では、アドテクノロジーによるディスプレイ広告の革新と、ネイティブ広告は相いれないものなのだろうか?

高広 ネイティブ広告とコンテンツマーケティングを使って興味を持ってもらう。そのあとでディスプレイを出すと、ユーザーにとって興味のある広告になる。

今田 コンテンツマーケティングとリターゲティングを組み合わせると非常に効果が高かった。

高広 リターゲティングは効果があるが、ストーカー広告、ブランド毀損とも言われる。ネイティブ、コンテンツ、リターゲティングを広告主はどう活用していくか。

菱沼 お客さんの側に立ってコンテンツをつくるのは重要だが、それだけでは商品は売れない。こっち側に歩みよってもらう必要がある。そのスイッチをどこで切り替えるのか。

ネイティブ広告を実施するうえで大切にしたいこと

 最後のテーマは、「ネイティブ広告を実施するうえで注意すべきこと」。高広氏は、PCではスポンサー広告であることがはっきりわかるようになっているが、スマートフォンやニュース系のコンテンツでは企業サイトにすぐ飛んで驚くことがある。媒体がつくるコンテンツ、企業がつくるコンテンツの間にグレーゾーンがあると指摘する。

 今田氏が媒体として注意していることは「絶対にステマをしない」こと。ステマ(ステルスマーケティング)は広告主から金銭を得ていることを明記せずに、その企業の商品・サービスについての良い記事を書くこと。「一時はそうした問い合わせが多かったが、(お断りしているうちに)この1年でうちには依頼が来なくなった」と今田氏は言う。また、「コンテンツを他の記事よりも4倍面白くする。ネイティブの枠を使うときにがっかりさせない」ことにも気を配っているという。

 菱沼氏は「(記事の)PR表記は僕たちにとっても嫌なことではない。ユーザーに合わせて、ユーザーに向けたコンテンツをつくる。ギズモードの場合はとんがっているメディアだから、社内ではうちのトーン&マナーと合わないのではないかという意見もあるが、そこは戦っていかなければいけない」と語った。

 嶋瀬氏は「企業とユーザー、メディアとユーザー、ユーザーががっかりしないものを提供し続ける。そのために、我々はフィルターの第一陣としても機能している」とユーザーとの信頼関係の重要性について改めて強調した。

 最後に高広氏は「ネイティブ広告は2年から3年かけて、メディア、広告枠、ユーザーを育て、業界の環境を整えていく」と展望を述べた。「ネット広告が儲からないからアプリをやる。そんな流の中で、(広告業界自体が)これまで広告を育ててこなかった。ネイティブ広告は業界のエコシステムをつくっていくようなモデルなのではないかと思う」と語り、1時間半にわかるセッションは幕を閉じた。

 IABの「The Native Advertising Playbook」の末尾では、「ネイティブアドはブランディング広告の一つの最終形態となるものである」と述べている。今後の議論と実践によって、ネイティブ広告の世界がより豊かなものとなることを期待したい。

【参考資料】

※IABの「The Native Advertising Playbook」は有志が翻訳したものがいくつか公開されている。以下はDACが翻訳し、まとめたもの。

「ネイティブ広告」「コンテンツマーケティング」について、高広氏が作成した以下の資料も参考に。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/05 13:24 https://markezine.jp/article/detail/20629

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