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「ネットの表現」を探る ~『ネットで「効く」コピー』刊行特別企画~

【おおつね×けんすう対談】ネットウォッチは紳士の楽しみ。むきだしの世界となめらかなコミュニケーション


緻密な観察と批評で知られるネットウォッチャー おおつね まさふみ氏と、「nanapi」「アンサー」など注目のサービスを次々と立ち上げてきたnanapi代表 古川健介(けんすう)氏。ネットの表現について考える連載の最終回は、このおふたりの対談をお届けします。

ネット上のさまざまな情報やコミュニケーションを観察してブックマークやリブログし、その事象についてコメントするおおつね まさふみ氏は、観測範囲の広さ、緻密な情報収集、批評の鋭さから、ネットウォッチャーの代表的存在として知られている。一方、若くしていくつものユニークなコミュニティサービスを立ち上げ育ててきた“けんすう”こと古川健介氏は、自身のブログでメディアやサービスについての考察を発信し、多くの業界人にとって気になる存在であり続けています。

ふたりの対談は「ネットウォッチとは何か」から始まり、文章を通じて行われるコミュニケーションに何を求めるのかにまで及びました。

互いの存在を知ったのは

おふたりがお互いを認識し始めたのはいつごろですか。

古川 14、5年ぐらい前。たぶん2000年くらいだと思う。おおつねさんが最初、人間だと思われてなかったころですね。

おおつね Bot説ね。

古川 おおつねさんは、いつぐらいからネットウォッチをしてたんですか?

おおつね みんなと同じ土俵では、ニフティとか東京BBSとかパソコン通信の時代です。名前を出して、ネット上で活動するようになったのは97年くらいですね。

古川さんは「けんすう」という名前はずっと使っているんですか?

古川 そうです。2ちゃんねるとかに投稿していた2000年ごろに、使っていたハンドルネームです。その頃には自分でサービスを作ったりもしていました。

19か20歳のころ、「1ch.tv」という掲示板で管理人を募集していたので、応募してやってみたら、まさかの大炎上というすごい思い出深いサービスもありました。たぶんそのとき、2ちゃんねるの「ネットウォッチ板」とかで(おおつねさんに)見られたのかな。

おおつね 「1ch.tv事件」ありましたね。

古川 いわゆるネットウォッチが最盛期だったのは1999年から2001年ぐらい。“名無し”、匿名のネットウォッチがそのへんで、そのあとにはてなブックマーク、mixiに行って、Twitterとかに流れていったイメージがありますね。

おおつね 炎上の発端がネットウォッチ板というのが多かったですね。

古川 当時のネットウォッチ板は、おもしろかったんですよね。

おおつね 独特の仁義があって。

古川 絶対にのぞき穴からのぞいてる対象物にさわっちゃいけないとか。

さわっちゃいけない? 

古川 さわっちゃいけないんです。自然みたいに保護しなきゃいけないという意識があって。バードウォッチングと近いというイメージがあった。向こうの人たちに感づかれてはいけない、それは自然の景色を壊してしまうから、みたいな。

ネットウォッチは「私怨NG」

おおつね いまでも2ちゃんとかで「特定祭り」みたいなのがある。たとえばTwitterで変な人種差別的な発言した人がいると、過去の写真から何駅に住んでて、どこの発表会で顔写真出てるぞと特定する。そのノウハウを1999年とか2000年当時のネットウォッチ板で情報交換していた。ネット探偵のやり方ですね。いまではもうみんな知ってるけど、Exif情報の位置情報と写真の回転の方向から、東西南北がわかるから風景写真で位置が特定ができるとか。

おおつねまさふみ氏。日本を代表するネットウォッチャーとして、日々活動中。

おおつね まさふみ氏
システム管理者であると同時に、ネットウォッチャー"otsune"として活動。
氏の情報収集の手法・考え方についてはLIFE SHRINKS - JGC15(寿命が縮む15分)(2011年)も参考に。

こいつをこらしめてやろうというより、どっちかっていうと、また面白いこと起こしてくれないかなっていう感じ。

古川 基本、「私怨はNG」っていうのがありましたよね。個人情報をさらすというのはしない。変な言い方ですけど、ちょっと紳士な人でないと楽しめないっていうのはありましたね。

そういう遊びというのは、世界で同時多発的にあったんですか?

おおつね いまでこそ「4chan」とかそういうのあるけど、当時まったく同じものがあるかっていうとちょっと違う。2005年当時、エンジニア系の「reddit」っていうサイトで似たようなことはやってたけど、ちょっと微妙にニュアンスがずれるとこがあるかな。

古川 アメリカとかだと、ディスカッションのほうにいっちゃうイメージがありますね、だから、変な人を外から眺めて感想を言い合うだけ、みたいな、日本独特の楽しみ方はあんまり見ないですね。

おおつね 1995年ぐらいに、産総研(産業技術総合研究所)の高木浩光さんが「JavaHouse Mailing List」っていうJava言語のメーリングリストを作ったんですね。高木さんはあんな感じの受け答えをする人なんで、カチンとくる人が出てくるのを見て楽しんでた。中には何とかして高木さんをぎゃふんと言わせたいと工夫をする人が現れて、「ブー様事件」というのもあった。当時はホリエモンも議論してたりして面白かったですよ。

「ブー様事件」

高木浩光さんとけんかをしてた女の人が、「おまえのやり方はここがよくない」というやりとりをしたあとに、急に「○○の夫です」と。「妻は急死しました。妻のメールを開けてみたら、何やら熱心にやり取りをされていたようなのでご挨拶しようと。(妻が高木さんを)どういう呼び方をしていたのかわからないので、高木様を『ブー様』と呼ばせていただけますか」って言うんです。(夫のふりしてメールしてるけど)でもこれ絶対本人だしっていうのがあった。その投稿したメールを「ブー様メール」って言ってみんなで楽しんでた。(おおつね氏)

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炎上しない場所でのコミュニケーションが増えている?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/12 16:59 https://markezine.jp/article/detail/20777

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