SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

CMS導入でサイトPV70%超上昇!ほったらかしのウェブサイトを優秀な営業マンに育てた成功事例

 企業の顔ともいえるウェブサイト。自社サイトに来訪した顧客に向けて、適切な情報を適切なタイミングで提供できていますか?今回は売上アップにつなげるサイトコア社提供のCMSを導入し、ウェブサイトでの情報発信効率を高めた成功事例について、スポーツショップ「GALLERY・2」を経営する横浜黒川スポーツ社の清水和博氏に、その具体的な施策と効果について伺った。

プロもお忍びで通うスポーツショップ「GALLERY・2」

 横浜黒川スポーツが運営するスポーツショップ「GALLERY・2」は、いわゆる一般的な量販店ではない。バスケットボール、フットサル、バレーボールなどの部活スポーツのジャンルに強みを持ち、プロもお忍びで通う玄人ファンが多いお店だ。

株式会社横浜黒川スポーツ 販売促進部 部長 清水和博氏

 「安売り店ではないが、スタッフの知識が豊富でしっかりアドバイスできるので、何を買えばいいのかわからない初心者にとっても、こだわりの強いプロにとっても、欲しいものが何でも揃うのが強みです。立ち位置としては東急ハンズさんのような感じでしょうか。スポーツに打ち込んでいる方々から頼りにされる、そういう店を目指しています」と横浜黒川スポーツ 販売促進部 部長の清水和博氏は語る。

ほったらかしのウェブサイトを優秀な営業マンにしたい!

 同社はこれまで、ウェブを使った情報発信として、コーポレートサイト、各店舗が発信するブログ、会員向けメルマガ、ECサイトと積極的に取り組んできた。だが情報拡散力としても、売上アップの面でも、なかなか手応えを感じられなかったという。

 「全社40億の売上のうち、ECはたったの6%。実店舗の方がまだまだ強いのが現状です。販促も、店舗で加入していただくポイントカードの購入履歴からDMを打つと、反応率が12~13%とかなり高いのですが、ウェブで情報発信したことによる効果はなかなか見えてきませんでした。それ以前に、PVや回遊率、直帰率などを見ても、ユーザーはサイトをちゃんと活用することすらできていないのではと。

 特にコーポレートサイトは、10年も放ったらかしという状況で、このご時世なのにSNSとも連動していませんでした。できるだけ早く、本格的なテコ入れが必要だと感じていました。そんな中、ちょうど参加したマーケティングのイベントでサイトコアさんに出会いまして。展開されているCMSでできることが我々のビジョンと一致したので、導入することに決めました」(清水氏)

パーソナライズで顧客が情報を探す手間を削減

 CMS導入を決めてから稼働までは8か月足らずで、システムの移行はスムーズに進んだという。では、抱えていた問題はどのように解決したのだろうか。

 GALLERY・2の大きな特徴は、「目的ありき」の買い物をする顧客がほとんどだということ。例えば新宿店では、4階がバレーボール、5階がバスケットボール、6階がサッカーと、スポーツごとにフロアを分けており、お客様は自分の目当ての階に直行する。これはウェブサイトでも同じ事がいえる。バスケットボールをしているユーザーは、サッカーやバレーボールの情報を見ることはほぼないため、全方位向けに作成された一律の画面を見せられたのでは、顧客自身が欲しい情報を探すのに手間が発生する。

 「そこで、CMSに統合されたデジタルマーケティングの機能を活用して、ユーザーの行動履歴をもとに、サイト上に表示する情報を、適切に出し分けられるようにしました。いつもバスケットボールのページを見ているユーザーに対しては、いつ来てもトップ画面からバスケットボールの情報をメインに表示させるようにします。パーソナライズされた興味のある情報が常に画面に現れるため、ユーザビリティが格段に上がりました」(清水氏)

コンテンツ管理を利便化し、店舗の接客をさらに強化

 サイトリニューアルにあたり絶対に避けたかったことは、スタッフがウェブ更新に時間を取られて、店舗での接客がおざなりになってしまうこと。CMS導入前でも、その点について店舗ブログがネックになっていた。セールや商品入荷などの大切な情報を、8年ほど発信し続けているブログ。各店舗の担当者がバラバラに投稿するので、その分それぞれに作業時間がかかる上に、同じ情報が重複してしまったり、大切な記事がすぐ下に流れて埋もれてしまったりと、全体的な管理も難しかった。情報も整理されておらず、記事も大量なためサイト内検索のスピードも遅くなっており、ユーザーにとって使い勝手がかなり悪い状態だったという。

 「CMS導入の第一の目的は、この状況を打破すること。まず、ブログをコーポレートサイトに統合しました。記事は、主に各スポーツの入荷担当者が代表して投稿し、該当店舗を示すことで情報を整理。念のため、アップされる前に、CMSのデフォルトの承認機能を利用して、一旦私を含む担当者がチェックできるシステムにしています。記事は店舗のPOPと同じなので、文字の色やサイズ、レイアウトなど、ブログの頃に表現できていた書き手の個性を失わないようにして、全体に活発で明るいサイトづくりを心がけています。店舗スタッフがブログ更新に時間を取られず、接客にあたる時間を確保できるようにしました」(清水氏)

リアルタイムで店舗在庫を把握し、現場とECの連携を強化

 そして、店舗とECの連携については、「商品紹介の記事では、色番やサイズなどを指定することで、リアルタイムでの取扱い店舗や在庫の有無がわかるようになりました。このシステムでは、欠品対策にしきい値を設定して10分毎に更新しています。また、ECで扱っている商品には、購入ページへのリンクがつくので、その場でお買い上げいただくことも可能です」と清水氏は語る。

店舗とECは対立するものではない

 実は、ウェブが充実してくるとECに顧客が流れ、店舗の売り上げに影響が出るのではないか、という懸念も社内から出たという。

 「そこで、商品の在庫をECとしては持たないようにしました。出荷は店舗から行い、売上は担当店舗につける、という形をとっています。複数の店舗が在庫をもっている場合は、その都度の判断で、主に在庫が多いところにつけます。そうすると、店舗から不満が出ることはなく、逆に在庫状況などの連絡が積極的に来るようになったので、販促の方向性を定めやすくなりました」(清水氏)

CMS導入のインパクト、コーポレートサイトのPVは70%超上昇

 導入してわずか1か月で、その効果は明らかに現れた。「前年と比べて、コーポレートサイトのセッション数は45%、PVは72.8%上昇しました。滞在時間や直帰率なども全て大幅に改善したので、かなり驚きました。ECサイトでも、セッション数26%、PV27%アップ。他の数値も全て20~30%上がっています。売上はまだそれほどインパクトはありませんが、今後はもっとシステムを充実させて、本格的に販促施策を打ち出していきたいですね。まずは、コーポレートサイトの商品紹介ページに直接ECサイトのカートボタンをつけたり、その場で店舗在庫の取り置き依頼を受けられるシステムも検討していきたいと考えています」と清水氏。

 今後は、会員情報の管理機能も充実させていく。現在、コーポレートサイトで会員がログインすると、登録情報やポイント数を確認できるが、将来的には基幹システムやPOSなどともっと連動させたいという。

 「店舗とECサイトの垣根を無くしていきたいですね。例えば、すでにECで購入しても店舗と同じポイントが貯まったり使えたり、また店舗での購入履歴もオンラインで確認・管理できる機能を実装しています。DMの反応率の良さからもわかるように、もともとコアなユーザーが多いので、オンラインでも適切な販促をかけられれば、結果は必ずついてくると考えています。お客様がECと実店舗の区別なく、必要に応じて使い分けていただけるようなチャネルに育てていきたいですね」(清水氏)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/10/08 11:00 https://markezine.jp/article/detail/20814