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「分析」で得た知見を「顧客対応」へ、ブレインパッドが語るOne to Oneマーケティング成功の秘訣

なぜ、オペレーショナルCRMによる自動化が必要なのか

 壇上では、東氏に代わって林氏が再登場。オペレーショナルCRMの役割について説明をした。オペレーショナルCRMの役割とは「アナリティカルCRMで算出された予測確率を基に、具体的に取るべき施策を自動化することにあります」と林氏。

 なぜ自動化が必要なのか。それは適切なコミュニケーションを実現するには、顧客の「カスタマーステージ」と「顧客行動」の2つに基づく適切なタイミングが肝心だからだ。

 一般的に顧客中心のアプローチでは、顧客のLTVの最大化を目標とし、カスタマーステージに合わせて必要なオファーを提示し、新規顧客から通常顧客へ、そして優良顧客へと育成していく。例えばECサイトでは顧客を育成するために、それぞれのカスタマーステージに合わせてキャンペーンを打つことが多い。そしてそのまま「優良顧客」に育つケースもあれば、カートに品物を入れたまま放置する顧客もいる。カート放置の場合は、レコメンドメールなどで購入を促すこともあるが、それでも購入に結びつかず、そのまま休眠顧客に入ってしまうこともある。

 林氏は、「これらのステージや行動に合わせて、1つひとつ手動でコミュニケーションすることは不可能です。そこでオペレーショナルCRMによる施策の自動化が必要なのです」と説明する。

「分析と実行のバランス」が成功のポイント

 オペレーショナルCRMに関し、ブレインパッドではキャンペーンマネジメントシステム「Probance Hyper Marketing」を提供している。実際にこのシステムを導入した、あるEC事業者では大きな成果を挙げているという。その事業者は顧客育成を目的に様々なキャンペーンを展開しているが、今回はメインとなる次の3つのキャンペーンが紹介された。

  • カート放置キャンペーン
  • Web閲覧後フォローキャンペーン
  • クロスセルキャンペーン

 カート放置キャンペーンとは、カートに品物を入れたままの顧客に対し、カート投入製品のオファーメールを顧客に送付するというもの。メールのコンバージョン率は翌日に送った場合だと10%ほどになる。通常のメルマガの場合は0.5%ほどだったので約20倍の効果だ。カートを放置する顧客は毎日全体の0.9%ほど発生するので、50万人の顧客がいる場合は1日450人がカートを放置する計算だ。だが翌日に10%の顧客がキャンペーンメールに反応するのであれば、45人が購入することになる。放っておけば生まれなかった売上だ。

 さらに効果が高いのは、Web閲覧フォローキャンペーンだ。これはカートへの品物投入や購買がなく、Webを閲覧して離脱してしまった顧客が対象。閲覧した商品や関連のある商品をメールでオファーするというもの。この人数はカート放置に比べると多く、全体の3%ほどだ。コンバージョン率こそ翌日に送った場合だと2%だが、対象人数が多い分その効果は大きいという。

 前出の2つに対し、クロスセルキャンペーンの対象者は購入した顧客。クロスセルのオファーメールは購入の翌日とその後一定間隔で送られる。コンバージョン率は翌日が4%ほどとなる。

 この企業は、3つのキャンペーンによる効果を売上の10%強と見ているそうだ。もちろん、その他のキャンペーンと競合していることも考えられるが、半分以上は「このキャンペーンの効果だと考えられます」と林氏は語る。

 なぜここまで高い効果が出たのか。林氏はその理由について「A/Bテストで、メールを送るタイミングを決定したからです」と説明する。例えばカート放置では、ある一定期間を過ぎた場合、急激に反応が落ちた。Web閲覧後フォローでも同様だ。タイミングを間違えるとオプトアウトにつながるリスクもある。「自動化の前のA/Bテストは非常に重要です」と林氏。

 しかし最も大切なポイントは、One to Oneマーケティングは分析だけ、もしくは戦略なき施策実行だけでも機能しないということだ。東氏は「One to Oneマーケティングを実施するには、分析と実行のバランスが重要です」と述べる。理想としては、基となるデータがあり、そのデータを活用してアナリティカルCRMで適切な予測を立て、その科学的なアウトプットに基づいたオペレーションを自動化するサイクルを回すこと。東氏は「顧客とのコミュニケーションを実行するオペレーション部分に、アナリティカルな数学的知見に基づく分析を反映することで、お客様とのリレーションシップを維持できます」と語り、講演を締めくくった。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2014/11/11 10:20 https://markezine.jp/article/detail/21081

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