KruxのDMPは単なるデータバンクではない
欧米各国で高機能DMPを提供しているKruxは、これまでCCIとともに日本でソリューションを展開してきた。11月に来日したCEOトム・チャベス氏に、同社のソリューションの特徴について話を聞くことができた。
― 今日は高い評価を得ているKruxのDMPについてお話をうかがいたいと思います。DMPというと、企業がさまざまなデータをひとつにまとめて分析するためのツールと考える人も多いと思いますが、KruxのDMPはそれだけではないようですね。
チャベス KruxのDMPは「タグマネジメント」「データ保護」「データマネジメント」「データマネタイズ」の4つの機能すべてを含んでいます。他社のDMPの場合は、とにかくデータを収集してデータバンクとして機能するDMPであり、タグ管理などの機能は提供されてないと思います。Kruxはさらに分析機能も備えています。それらを含めて最終的な段階まで実行し、収益の増加につなげていくというのが我々の考え方です。
― 4つめの機能「データマネタイズ」の部分が非常に興味深いのですが。
チャベス パブリッシャーがデータからどのように収益をあげるかに関しては、3つの方法があると思います。ひとつは「O&O(Owned and Operated)」。ニュースサイトを運営するパブリッシャーは広告枠を持ち、それを販売します。DMPを使うことによって、広告のデータを取得し、広告の裏側でそれを活用できる。単にプレースメントを売るだけでなく、オーディエンスデータを組み合わせたターゲティングが可能になります。たとえば、自社のストレージ・デバイスに年間300万ドル使ってるようなエグゼクティブにターゲティングすることが可能になるわけです。
そのためには、GoogleのDFPのようなアドサーバーとのシームレスな統合が必要です。また、そのデータを使って行なったすべてのキャンペーンで、どれくらいの収益があったかということを明確に数値化できる収益の分析も必要になります。これが、パブリッシャーがデータを使ってマネタイゼーションするひとつ目の方法です。
2つ目は「Extension(拡張)」と呼んでいるのですが、たとえばGoogleとかAppNexusといったリアルタイムのアドエクスチェンジを使ってグロースする方法です。パブリッシャーは、自社のファーストパーティデータを取得し、アドエクスチェンジで購入したサードパーティのメディアのデータを結びつける。そこでエクステンションのプロダクトができるわけです。これはパブリッシャーにとって非常に魅力的です。彼らの広告在庫を使って、より求められるプレースメントを生み出すことができる。同じデータを外部のプログラマティックなメディアのデータと組み合わせることによって新たな収益を得ることができるのです。
そして3つ目が、データを安全なPeer to Peer接続を通じてマーケターに提供し、パブリッシャーが利益を上げるというモデルです。
― この3つの手法のうち、マーケターにとって関心が高いのはどれでしょうか。
マーケターの方が非常にやりたがっているのは、自分たちのデータをパブリッシャーのデータと組み合わせる方法ですね。Kruxを採用しているケロッグのマーケターのように、ブランド・エンゲージメントに興味があって、キャンペーンを通じて顧客や認知度や製品の購買意向を高めたいという場合に、そこをサポートします。また、イベントプロモーターであるLive Nationの場合は、サイトを訪れてチケットを購入してくれる新たなオーディエンスを定義したいと考えています。
現在ではパブリッシャーのように魅力的なコンテンツを提供したいと考えるマーケターも現れるようになってきました。単なるマネタイゼーションや収益向上ではなく、もっとも良い成果を得るために、より戦略的なマーケティング・プラットフォームとしてDMPを使うことができるのです。
― 日本市場ではこの3つすべてを提供すると考えていいのでしょうか。
チャベス そのとおりです。CCIが運営する「predix」というデータファシリテーションサービスがありますが、こうしたサードパーティのデータも利用できるようになります。