よりリアルな生活者の姿を把握する「人軸分析」
従来のソーシャルデータ分析は、特定のキーワードを含む口コミを抽出し、抽出後の口コミそのものについて、量や内容を分析していました。つまり、時にはテキストマイニングツールを駆使するなどして、口コミそのものの内容については詳しく分析するものの、それを発言した生活者については、「それらのキーワードを含む口コミをした人々」あるいは簡単な属性分布など、ぼんやりとした姿しか把握できない状態でした。
これに対して、「人軸分析」は、特定のキーワードを含む口コミをしたユーザー自身を分析の主軸に据え、彼らが口コミをするに至った経緯や背景、その後の状況など、生活全般にわたって分析を行います。これにより、彼らの価値観やトレンドや購買行動プロセスなどを把握し、適したプロモーションの実施や、商品やサービスの開発などが可能となります。

3つの人軸分析手法
「人軸分析」には以下の3つの手法があります。
- ソーシャルエスノグラフィ
- ソーシャルプロファイリング
- コミュニティクラスタ分析
ソーシャルエスノグラフィ
ソーシャルエスノグラフィは、特定のキーワードを含む口コミをしたユーザーについて比較的長期間(数か月~数年間)にわたる口コミを観察する手法です。購買時点の口コミだけではなくその前後の口コミも分析することにより、購買のきっかけやその理由、購買後の評価や他者への紹介の有無などを理解することなどが可能です。
ソーシャルプロファイリング
ソーシャルプロファイリングは、これまでの口コミデータを基に属性(性別、年代、居住地域)や興味関心領域など、指定したユーザーのソーシャルプロファイル(ソーシャルデータから見た人物像)を作成する手法です。自社で保有する顧客の購買/契約/取引データと、同一顧客のソーシャルプロファイルをつなぎ合わせて潜在的ニーズを把握し、最適なOne to Oneマーケティングを実現可能です。
コミュニティクラスタ分析
コミュニティクラスタ分析は、ソーシャルメディア上でつながりの深いユーザー同士をコミュニティとして自動分類する手法です。コミュニティごとの反応や価値観、行動特性を把握し、マーケティングコミュニケーションの最適化や、風評への適切な対応に活かすことが可能です。
また、これらの分析手法を組み合わせて特定の生活者の悩みや不安、不満などを分析し、アクティブサポートに活かすことはもちろん、新たな商品/サービスの開発に役立てるこも可能となります。
日々発展しているソーシャルデータの分析&活用
景気に関するソーシャルデータ上でのトレンドを継続的にモニタリングすることにより、公的統計が発表される前に景況感を把握するなど、ソーシャルデータの分析&活用手法は日々発展しています。
今回は、ソーシャルデータ分析に特有の落とし穴として主に2つの原因があること、及び、それらの解決策として、「複合分析」と「人軸分析」について概要を説明しました。次回からは、具体的な事例を基に説明します。