適切なタイミングで適切なモノを適切なヒトに
前回は、ソーシャルデータ活用時のもう一つの落とし穴である「ソーシャル上の発言者像が見えない」ケースについて、その原因と解決策をお伝えしました。簡単にふりかえると、原因は「何が」語られているかは把握できるものの、「誰が」語っているかについては性別や年代、居住地域など簡単な属性しか推定できなかったことがあげられました。解決方法としては「人軸分析」の一つである「ソーシャルエスノグラフィ」の活用があります。
今回は、よりリアルな生活者の姿を把握するために、ソーシャルデータを基に、属性や興味関心領域などのプロファイル(人物像)を明らかにする「ソーシャルプロファイリング」を紹介したいと思います。
皆さんも実感されているかと思いますが、世の中にはモノがあふれています。また、生活者の興味関心の変化が激しい時代です。この状況でモノを売るには、対象とする生活者のことをより深く理解し、最適のタイミングで、最適なモノを、最適なヒトに提案することが欠かせません。そのため、様々な企業が生活者のデータを収集・分析し、生活者に日々提案し続けているのが現状です。
その際に中心となるデータは、生活者の属性データと購買データです。どのような属性を持つ生活者が、どのようなタイミングでどのようなモノを購入しやすいかを明らかにし、同じ属性を持つ生活者への提案に利用します。最近では、それら一連のマーケティング業務を自動化し、PDCAサイクルを回す、マーケティングオートメーションに注目が集まっています。
自社商品の購買データをいくら分析しても、ロイヤリティは把握できない
しかし、ここで一つ問題が生じます。それは、ほとんどの企業において、入手可能な購買データは自社商品の購買データに限られる場合が多いということです。自社の購買データしかわからないと、どのような問題が発生するでしょうか? 例えば、自社商品を多く購入してくれていると思っていたユーザーがいるとします。企業としては嬉しいことですが、実は競合商品の方をより多く購入しているかもしれません。ですが、それに気づくことはできません。
つまり、自社データをいくら分析したところで、ロイヤリティを把握することはできないのです。ロイヤリティを把握するためには、自社の購買層が競合商品を購入していないか、その状況を知る必要があります。ですが、競合商品の購入データを入手することはほぼ不可能です。
その問題を解決するものとして開発されたのが、「ソーシャルプロファイリング」です。ソーシャルプロファイリングにより、顧客が自社以外の商品を購入したかなどについて、情報を得ることができます。では実際にどのような形で情報を取得し、利用するのでしょうか? 次のページで具体的な例をご紹介します。