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MarkeZine Day 2025 Retail

変わりはじめたソーシャルデータ活用

自社の購買データだけではわからない! 潜在需要を明らかにする「ソーシャルプロファイリング」の活用を

足りない情報を補う「ソーシャルプロファイリング」

 ソーシャルデータには、属性に関する情報や、日々起きた出来事、興味関心事の他、特定のブランドや商品の購買等に関する記述が含まれている場合が多いです。それらを蓄積・分析することにより、興味関心が高いジャンルや、購入することが多いブランドなどが明らかになります。この分析結果を可視化することが「ソーシャルプロファイリング」です。今回は例として、40代男性のダミーデータを用意しました。

ソーシャルプロファイリング例(ダミーデータ)
ソーシャルプロファイリング例(ダミーデータ)

 まずは基本情報から見てみましょう。千代田太郎さんは妻子(息子二人)と東京都千代田区にお住まいの会社員です。ゴルフと仕事とコーラが大好きで、ダイエットを始めているようです。以上の情報は、Twitterのプロフィール情報からわかることです。

 次に、Tweet本文によく使われているキーワードを見てみましょう。「うまい」というキーワードからは、食に対する関心が高いことが、また、「頑張れ」「教訓」「仕事」などからは、仕事に関するアドバイスが語られることが多いことが、推測されます。よく使われているワードをジャンル分けしたレーダーチャートからは、「料理/食事」「レジャー」に関するジャンルの話題が多いことがわかります。なお、ジャンル分けについては、自社で保有している購買データとの比較が容易になるよう、自社で通常使用されている商品カテゴリと同じ分類に分けることがポイントとなります。

 また、よく使われているワードをブランド別に集計すると、どのブランドをよく利用しているのか、つまり、ブランドロイヤリティが明らかになります。

 以上が、ソーシャルデータから明らかになった「ソーシャルプロファイリング」結果です。次に、この「ソーシャルプロファイリング」結果のうち、ジャンル分けしたレーダーチャートについて、千代田太郎さん個人の自社での購買実績データと比較してみます。

興味関心と購買実績の比較
興味関心と購買実績の比較

 すると、よく話されている「料理/食事」「レジャー」について、自社での購買実績が少ないことがわかりました。このことは、それらの需要が競合に奪われていることを意味します。これをセールス機会ととらえて、自社商品のよさを理解してもらうためのマーケティング施策の実施を検討します。

 このように、ソーシャルプロファイリングの結果と自社購買実績を比較することで、自社購買データだけではわからなかった、お客様一人ひとりの潜在需要を明らかにし、対策を立案・実行することが可能となります。

 また、前回ご説明した「ソーシャルエスノグラフィ」を併用することで、生活者がなぜ自社ではなく競合から購入しているのか、その人のライフスタイルやライフステージ、などを明らかにし、より適切なタイミングで適切なモノを提案することも可能です。

キーは顧客のソーシャルアカウントの入手

 実際に「ソーシャルプロファイリング」を行う場合、自社のユーザーが通常使用しているソーシャルアカウントを提供してもらう必要があります。このアカウントの入手が、その後の成否を握ることになります。

 なぜなら、当然のことながらアカウントを提供してもらえなければ、ソーシャルプロファイリングを行うことはできませんし、アカウントを提供してもらえても、それが通常使用されていない捨てアカウント(通称「捨てアカ」)であれば、正しいソーシャルプロファイリングを行うのは困難だからです。捨てアカの場合、自身に関する記述やツイートが少ないといった情報量のデメリット以外に、性別が実際とは逆になっているなど、情報の信頼性が低いことがあります。

 したがって、ソーシャルメディアに記述された内容に基づいた適切なレコメンデーションを、割引やポイント特典と共に提供するなど、ソーシャルアカウントを提供した場合の顧客ベネフィットをしっかりと設計する必要があります。なお、ソーシャルプロファイリングは、日本では小売業を中心に活用されつつありますが、海外では同様の取り組みが金融業にも広がっています。

ブランドロイヤリティや潜在需要を把握するために

 ソーシャルデータを基に、基本属性(性別、年代、居住地域、家族構成、趣味など)や興味関心などのソーシャルプロファイル(ソーシャルデータから見た人物像)を作成する「ソーシャルプロファイリング」を実施することによって、自社を含めたブランドロイヤリティを把握したり、潜在需要を発見したりできます。

 次回は、「人軸分析」の3番目として、ソーシャルメディア上でつながりの深いユーザー同士をコミュニティとして自動分類する「コミュニティクラスタ分析」について、具体的な事例を基にご説明します。

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この記事の著者

神子島 隆仁(カゴシマ タカヒト)

株式会社ホットリンクコンサルティング 取締役
ITエンジニアを経て、分析コンサルタントとして、社内外クライアントの経営及びマーケティングに関する意思決定を支援。データサイエンスを通して、世界中の人々が「ほっと」できる社会の実現を目指して活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/22547

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