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マーケター必見、ビッグデータ活用最新動向

ブランディングを強化する、オーディエンスプランニングへのビッグデータ活用

膨大なデータをわかりやすく整理するために

 オーディエンスプランニングのために行うデータ解析は、「このページはファッションに関するページである」とか、「このオーディエンスは20代女性である(可能性が高い)」といった、特徴となるラベルをひとつひとつのデータに貼っていくというシンプルなものだ。

 これを実現するためには、データをカテゴライズして意味のある集合を構築していく・各オーディエンスの性年齢といった属性を推定してオーディエンスがどんな人か分かるようにしておく、などの処理が必要となる。

 ここから、データのカテゴライズと属性の推定について、少し具体的に説明しよう。

データのカテゴライズ

 データのカテゴライズは、「傾向の似ているデータを判別してまとめていく」という考え方でカテゴライズを自動化できる。例えばクラスタリング手法で有名なものではk-means(K平均法)がある。この手法を用いると「似ているデータ」をグループ化することができる。他にも、AmazonなどECサイトでよく見られる、レコメンデーション・エンジン(「この商品を見た人はこの商品も見ています」というものだ)に使われる協調フィルタリングやアソシエーション分析などをカテゴライズに応用することも考えられる。各手法のアルゴリズムなどは説明を割愛するが、一般的な手法なので興味があれば検索してみて頂ければすぐに見つかるだろう。

 いずれにしても、データをカテゴライズして意味ある集合として可視化する、という目的においてはいわゆる教師なし学習の領域で解析を行うことが多い。

※教師なし学習とは:データをどうカテゴライズするかは、予め決まった正解がない。このような、事前に決まった正解のない解析を「教師なし学習」という。一方、前回紹介したオーディエンス拡張などは、「コンバージョンしたかどうか」といった「正解」が存在し、正解となるデータを「教師」として使用することから、教師あり学習と呼ばれる。

属性の推定

 また、属性の推定やデータ判別では、前回紹介したオーディエンス拡張や予測モデリングに使われる手法が活用可能だ。なお、DACではオーディエンス拡張と性年齢の推定では異なる解析手法を用いている。異なる手法を使う理由としては、「判定すべき対象が限定されているか、全体か」という違いがあるためだ。

 例えば、コンバージョンユーザに似ている1,000人を見つけたい場合(=オーディエンス拡張)と、1億人の性年齢を知りたい場合(=性年齢の推定)では、採るべき方法が少し違うということだ。後者の場合、「ブランドAのバッグを使っている人は100%の確率で20代女子だ!」と分かったとしても「ブランドAのバッグを使っている人」が100人しかいなければ、1億人の推定にはあまり役に立たない。

 それよりも「判別精度は低くても、多くの人に適用される」データを複数積み上げて、判別精度を上げていくほうが適している。数千万人に適用できる「女性である可能性がやや高い」と思われる行動を複数判定することができれば、「高い確率で女性である」と言うことができる。(ここでの解説は単純化しているので、あくまで概念として捉えてほしい)。

 他にも、テキスト解析によるコンテンツの分類、時系列変化を加味した傾向分析、カテゴリとカテゴリあるいはカテゴリと属性の相関分析や行動分析など、解析の方法論は多岐にわたる。市場や企業のデータ活用レベルの向上とともに、解析すべきテーマはさらに増していくだろう。

データ活用スキルは、インターネット広告に携わる人の必須スキルに

 前述のように、オーディエンスプランニングのために行うデータ解析のアウトプットは、「人が理解できるようになったデータ」だ。これをどう解釈して、どう組み合わせて、思い描くターゲットにどのようにコミュニケーションしていくのかが、マーケターの腕の見せ所だろう。

 例えば、どのような趣味嗜好を持っているオーディエンスにターゲティングしたいのか、その趣味嗜好を表しているのはカテゴライズされたどのデータなのか、そのデータに含まれるオーディエンスの行動は本当に想定するターゲット像に合致しているか。そして、このオーディエンスにはどのようなクリエイティブで訴求していくべきなのか。このようにターゲット像を定義し、データと照らし合わせて検討、実行して結果を検証していく必要がある。

 オーディエンスプランニング時代のマーケターは、これまで以上にアプローチしたいオーディエンス像を明確化し、データの活用方法も理解し、両者を組み合わせてプランニングしていく能力が求められる。マーケターの領域はまだまだ拡大傾向にある。ビッグデータの活用により、一層ロジカルで戦略的なマーケティングが実施できる時代だと言えるだろう。

 今回はブランディング・ブランド認知のための広告配信へのビッグデータ活用とはどのようなものか述べるとともに、その場面で人がどのような役割を持つのか、どのようなスキルが必要なのかを述べた。次回のテーマは「データドリブン・マーケティングのPDCA」。マーケティングをデータドリブンで推進していく際にPDCAをいかに回すかにフォーカスする。
(DACビッグデータ解析部 プロデューサー さつま)

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この記事の著者

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)ビッグデータ解析部(デジタルアドバタイジングコンソーシアム ビッグデータカイセキブ)

 2013年、「ビッグデータを基盤に、広告主・媒体社と生活者のコミュニケーションを豊かにする」ことをミッションに設立されたデータ解析のプロフェッショナルチーム。データサイエンティスト、エンジニアなど多様なバックグラウンドを持つデータ解析のスペシャリストたちが、日々自社プラットフォームにかかわるデータ全てを解析し、プ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/01/22 12:00 https://markezine.jp/article/detail/21691

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