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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2015 Spring(AD)

プライベートDMPを活用したコンテンツマーケティングで新たなオウンドメディア戦略を

 顧客にとって価値ある情報を提供することで、企業と顧客のコミュニケーションを深めていく「コンテンツマーケティング」。新たな顧客接点を創出するだけでなく、既存顧客とのエンゲージメント、ロイヤルカスタマーとの関係醸成といった様々な場面や目的に応じて、「適したコンテンツ」を配布することが成功のカギとなる。MarkeZine Day 2015 Springに登壇した株式会社イノーバ 代表取締役社長の宗像淳氏は、このコンテンツマーケティングのデータ基盤としてDMPを活用することを提案。加えてパートナーであるトライアックス株式会社 代表取締役 植山浩介氏により、プライベートDMP「SATORI」を活用した事例が紹介された。

コンテンツマーケティングで、顧客との継続的な関係づくりを

 「コンテンツを作成して提供することで、ユーザーに“見つけてもらう”“来てもらう”ところから始まり、ファンになって参加していただく。広告のような『瞬間の勝負』ではなく、『継続的な関係づくり』を重視している」(宗像氏)

株式会社イノーバ 代表取締役社長 宗像淳氏

 セッションの冒頭、株式会社イノーバの宗像淳氏は、コンテンツマーケティングのあり方についてこのように語る。既に8~9割の企業が取り組んでいるともいわれるコンテンツマーケティングだが、その急拡大の背景には様々な要因があるという。

 たとえば、ネット上における情報量の飛躍的な増加、そしてメディアやツールの多様化による「ながら見」のような視聴スタイルへの変化などにより、マスメディアでもネットでも広告の効果が下がっていることが挙げられる。そして、多くの情報に接したユーザーが“賢く”なって広告的な情報を疑うようになり、排除するようになったこともあるだろう。「PageFair」のレポートによると、広告の平均22.7%が広告ブロックツールによって回避され、表示されていないという。この割合は前年比143%となっており、このペースで広告回避が進むと2018年にはブロック率が100%になるとも試算されている。つまり、「広告や営業に売り込みを受ける」消費行動から、「自ら欲しい物をWebを使って探しだす」方にシフトしているといえるだろう。

 ただし、実はこれはユーザー側からの見え方であり、企業側にとっては、商品やサービスに関連する情報を「見つけてもらう」「気づいてもらう」もしくは「さりげなくしのばせる」ことが重要となってくる。そこに「コンテンツ」が有効と考えられるわけだ。そうした事情に企業も敏感になっており、特にデジタルマーケティングの施策としては、ビッグデータやモバイルマーケティングなどを抑え、約3割が「最も重要」と認識している(※)という。

※参照:「Digital Marketing Trends 2015, SmartInsights」

コンテンツマーケティングを取り巻く課題

 また、宗像氏の著書『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる』がAmazonのマーケティング・セールス部門で1位を獲得したり、Googleのコンテンツマーケティング関連の検索が2012年より急上昇していることなどからも、企業の興味関心が伺える。

 しかし一方で、関連するキーワードを無理に盛り込むなどSEOを意識しすぎたり、挑発的な内容でバズ・炎上させたり、「勘違い」「誤解」も少なくないという。そうした誤ったコンテンツ作成を業界として続けていると、量の増大と質の低下による「コンテンツの死」につながりかねないと宗像氏は警鐘を鳴らす。

 そして近年増大しているリターゲティング広告についても「消費者は自身がリターゲティングされていることに気づき、気持ち悪く感じるようになってきている」と指摘する。そしてそれがブランドイメージの低下につながるなど、一時的な効果はともかく、長期的にはマイナスにしかならないというわけだ。

資料ダウンロードCVRが30%超向上!TAB社の成功事例

 コンテンツマーケティングを本来あるべき姿にするために、宗像氏が重視しているのが「ペルソナ設計」と「カスタマージャーニー」に基づいた「顧客に合わせたコンテンツ配信」だという。

 この2点を重視したコンテンツマーケティングの設計によって成果を上げた事例として、TAB社の事例が紹介された。カスタマージャーニーを5つの段階に分解し、それぞれに応じてコンテンツを用意。結果、クリック率650%向上、資料ダウンロードコンバージョン率32.6%向上という成果を得ることができたという。

 その成功の一方で、デジタル上におけるコンテンツマーケティングの課題として、「顧客の顔が見えず、ペルソナ化が難しいこと」「コンテンツ管理が煩雑になり、運用負荷が高いこと」などを上げ、その解決策としてトライアックスが開発したプライベートDMP「SATORI」が有効であるとした。

DMPとコンテンツマーケティングの関係

トライアックス株式会社 代表取締役 植山浩介氏

 宗像氏からバトンを受け取った植山氏は、コンテンツマーケティングにおけるDMPの有用性を紹介。一人ひとりのユーザーは様々なタッチポイントで情報を得ながら、製品購入への意欲を高めていく。DMPでは、そのあらゆるアクションについて記録し、一人ひとりの動向を観測することから始まる。そしてその分析から適したコンテンツを選び出し、提供するという流れだ。ただし、オープン(パブリック)DMPが広告効果の最適化を図るものであるのに対し、「SATORI」は顧客育成、退会防止、ロイヤリティの育成といったLTV(Life Time Value)の向上を目的とした「プライベートDMP」だという。

 植山氏は「One to Oneで最適なコミュニケーションを図ることで、製品やサービスを購入いただく。マーケティング担当者がやりたかったことが、アマゾンのような大企業でなくとも手軽にできる時代になってきている」とプライベートDMPの可能性について語る。そして、どのような事業や商品にこうしたOne to Oneのコンテンツマーケティングが向いているのだろうか。そのヒントとして、中古マンションのリノベーションを提供している「リノベーション専門 リノベる。」の事例が紹介された。

DMPを活用したコンテンツマーケティングの事例:リノベる。

 「リノベる。」の特徴として、「住宅に対するニーズが多様化しており、それを熟知するためにも情報蓄積と分析が必要とされていること」「住宅というリードタイムの長い商品を扱っていること」「成約後のライフスタイルについてもサービスを提供していること」などを上げ、「ビッグデータよりもディープデータが重要になっている」と解説した。こうした背景においてDMPを活用することで、より深く長く、顧客との関係性を構築することが可能になっているという。

DMPを導入したコンテンツマーケティングを支援

 「SATORI」を使うことで、自社が持つオーディエンスデータを様々な国内のDSPやアドネットワークとシームレスに連携し、広告配信に利用することも可能だ。具体的には、あるセグメントの顧客にクーポンを提供するといったこともできる。

 なお「SATORI」はASPで提供することから利用料を月額10万円程度で提供できるというが、今後はイノーバとトライアックスの連携による、DMPを導入したコンテンツマーケティング、オウンドメディア展開を行なっていくという。それにより、制作や運営まで含めて一気通貫で提供できるようになる。

 最後にこうしたコンテンツマーケティングを成功させるための注意点として「コンテンツ作成と管理の重要性」を挙げ、たとえばコンテンツをページごとに割り振るなどのコツが紹介された。植山氏は「コンテンツがなかったり、分析できない状況では手も足も出ない。今後はコンテンツが顧客を知るための重要な手がかりとなることから、戦略的な作成と管理が不可欠となる。そこにおいてイノーバに期待している」と語った。それを受けて宗像氏は、「『SATORI』を的確に活用することで、より効果の高い健全なコンテンツマーケティングが可能になる。『商いの原点』に立ち戻ることが大切」と語り、今後の協業による価値について確認し合った。

参照サイトはこちら!

★コンテンツマーケティングのイノーバ
★マーケティングオートメーション「SATORI」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/04/07 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22239