広告主と媒体社が近づいてユーザーのタイミングを把握
上代:なるほど、同感です。タイミングという視点だと、企業のサイトやアプリに四六時中アクセスしている人なんかいないので、そうするとオウンドメディアの充実と同時にリマインドになるようなタイミングをどうつくるかを考えることがマーケティングコミュニケーション担当者には求められますね。
友澤:その意味では、広告主と媒体社がもっと近くなっていかないといけないですね。今、広告主のファーストパーティーデータ、そして調査会社などのサードパーティーデータは組み合わせて使われていますが、媒体社のセカンドパーティーデータも加えてデータを扱っていく。オウンドメディアと媒体社のメディアは、規模は違っても同じメディアなので、そこもどう組み合わせていくか。
上代:それらのデータを踏まえて、テレビCMを見た1カ月後に、実際に購入した人がどのように態度変容しているのか? そういった方にどういった広告を打っていくのか、PCではなくスマホでどんな広告を打てばリマインドになるか、ひょっとしたら半年先はどうか、そんなふうにストーリーを考えるスキルも必要になりそうですね。
友澤:そんな中での人材育成、仕事の切り分け方が大切だと思っていて、僕は最近「“コア”と“ノンコア”を決める」という話をしているんです。デジタル担当者が考えるべき領域はすごく広がっていて、今言われたようにストーリーも考えなくてはいけなくて、PDCAもリアルタイムに近づくと、正直もう担当者レベルではできない。そこで、コアを決めて、ノンコアはアウトソースなり機械なりに任せるというふうにしないと、非効率だし組織も肥大化してしまいます。
常に人がいる場所かどうかで“コア”と“ノンコア”を分ける
上代:言われてみれば私も、常に生活者が行き交うソーシャルとヤフーのようなメディア、そこにおける広告は“ノンコア”としてアウトソースしていますね。人が多すぎて、それぞれに適切な対応を考えていられないので。逆に自社サイトやメールなど、接触頻度の低い場は社内でフォローしています。
友澤:すでに実践されていますね(笑)。アウトソースするための経験やスキルもまた必要なので、そこは日々パートナー企業とやり取りして、OJTで会得すると。
上代:ソーシャル、メディア、広告の領域は進化が速いので、同じ言語を身につけて実働は任せるというのが適していると思います。オウンド領域はある程度は社内で身に付くので、うまくアウトソースできる人材の育成により重きを置きたいです。
友澤:組織づくりは簡単ではありませんが、新年度を迎えてさらにドライブがかかりそうですね。組織についてはこれまで何度もお話しさせていただきましたが、上代さんのなかでどういう組織を目指したいかを教えてください。
上代:部内には「テクノロジーとコミュニケーション」または「テクノロジーとメディア」のどちらかを選んで目標とスキル設定をしてコミットしてくださいと話しているんです。テクノロジーは、マーケターには必須です。また、ウェブ、ソーシャルなどデジタル内でも起こりがちな組織のサイロ化を防ぎ、デジタル全般に強いメンバーの集団になりたいですね。
ヤフーに対するデジタルマーケティング領域での期待
友澤:最後に、ヤフーを活用した今後のデジタルマーケティングの取り組みについてご意見お聞かせいただけたらと思います。いかがでしょうか。
上代:ヤフーというと、Yahoo! JAPANトップ画面のブランドパネル。“認知”に貢献できる絶対的な数字を持つ唯一のメディアという印象が強いですね。お客様がたくさんいる。PCでは日本でNo.1のポータルというポジション。
そして今後さらに、マス×リアル×デジタルのストーリーのハブとなるメディアとしての役割、また購買データを組み合わせた分析やメディアプランといったデジタルマーケティングを推進していくための重要なパートナーとして、ともに連携できればと思ってます。また、スマホで新しいデジタルマーケティングの形をどう作っていくかというところもヤフーさんには期待しています。
友澤:そうですね、ヤフーのアセットであるビッグデータをいかにデジタルマーケティングに活用していただくか。また、スマホ領域でのコミュニケーションはどうするのかは大きなテーマですね。直近ではYahoo! JAPANのトップページやスマホ版Yahoo! JAPANのトップページなどのデザイン、広告ラインアップの刷新も予定しています。今後のヤフーの取り組みにも期待していただけたらと思います。
参考情報
スマートフォン版「Yahoo! JAPAN」、Yahoo! JAPANアプリのトップページの広告ラインナップを一新します