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MarkeZine Day 2015 Spring(AD)

「“やりたくてもやれなかったこと”を実現する」マーケティングオートメーション活用事例

 時代とともにテクノロジーやチャネルが多様化する中で、増え続ける日々のルーティン業務に追われて、なかなか抜本的なマーケティング施策を打ち出せずに、頭を抱えているマーケターも多いのではないだろうか。MarkeZine Day 2015 Springでは、そんな現状を打破してくれる「マーケティングオートメーション」について、株式会社プラスアルファ・コンサルティング カスタマーリングス事業部 部長 鈴村 賢治氏によるセッションが開催された。

単純作業からマーケターを救うマーケティングオートメーション

 ビッグデータ活用専門のコンサルティングとシステムを提供している、プラスアルファ・コンサルティング。同社のクラウドサービス導入実績は1,200社以上。多くの企業のマーケティングオートメーションを支援してきた鈴村氏は、「そもそも、なぜマーケティングオートメーションが必要なのか、現場のどんな課題を解決してくれるのか、をご紹介していきましょう」と切り出した。

株式会社プラスアルファ・コンサルティング カスタマーリングス事業部 部長 鈴村 賢治氏
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
カスタマーリングス事業部 部長 鈴村 賢治氏

 マーケティングオートメーションとは、デジタルマーケティングにおいて、施策の実施過程で発生するさまざまな単純作業を自動化し、効率化してくれるシステムのことだ。

 昨今ではビッグデータと呼ばれるように、多量なデータが手に入るようになったはいいが、なかなか現場は対応できていないのが現実だ。この背景には、「データ抽出に時間がかかる」「月次レポートも集計が大変」「メール配信作業に地味に手間がかかる」という3つの単純作業がマーケターに重くのしかかっているという、「リソースが少ない上に単純作業で忙しいという」構造的な問題があるのだという。

 「本来、人がやらなくてもいいようなことに仕事の大部分の時間を割いているせいで、クリエイティブな仕事ができていない企業が、私の感覚値では9.5割あります。『日常業務でマーケティングをやればやるほど、単純作業が増えて忙しい一方になる』というのが根本的な課題。

 セグメントでロイヤリティの高いお客様を生み出さなければいけない重要性はわかっていながら、メルマガを全配信するといったマスのアクションしかできていないところが多くあります。それでは当然、成果は出ません」と鈴村氏は語り、現場から単純作業がなくならない大きな原因の1つに、メール配信システム・アンケートシステムなど、アクションごとに別々のツールが存在していることで、そのシステム間の連携を人がつないでいるという、部分最適化しすぎたCRMシステムがボトムネックになっている現状に、警鐘を鳴らした。

︎事例で見る、マーケティングオートメーションの効果

 “システム間のデータを、もっとシームレスにつなげないと、マーケティングオートメーション化はできない”と、プラスアルファ・コンサルティングが開発したのが「カスタマーリングス」だ。

 「みなさんの顧客データ・購買データ・会員データなどが入った基幹システムから、自動的に1日1回データを取り込むため、基幹システムを追加開発する必要はありません。購買履歴・メールの反応・アンケート回答・サイトの閲覧履歴など、すべてのデータを顧客データに紐付く形で抽出でき、分析はもとより、そのままメール配信やプッシュ通知などのアクションにつなげることができます」(鈴村氏)

 マーケティングオートメーションを導入した結果得られる効果は、「攻め」と「守り」の両面において現れる。メルマガを一斉配信していたアパレル通販会社は、カスタマーリングスで過去の購入履歴に照らし合わせて顧客のセグメントを行い、顧客に合わせたメール配信へ切り替えたことにより、メルマガ経由の売上が166%UPするという「攻め」の効果が現れた。

 他方、バラバラに管理している顧客データや購買履歴データなどの抽出や紐付け、集計といった単純作業に苦労していた健康・化粧品通販会社では、月次の分析レポートを出す時間が、毎月のべ7日から4時間へと92%の削減に成功した。

 「マーケティングオートメーションから生まれた時間は、顧客の見える化、データの分析など、優先度の高いクリエイティブな仕事にあてられるようになります」と鈴村氏は説く。

“やりたくてもやれなかったこと”を実現する

 マーケターのアイデアを実現するためには、システム部門などに依頼して顧客データを抽出してもらわないと、前に進まないことは多々ある。例えば、こんな施策をやってみたいけど、なかなか手が回らなくて、断念していることはないだろうか。

起点日ベースのセグメントによる、タイミングを逸しない販促

  • 記念日優待クーポンの送付
  • フォローアップ施策
  • 平均購入間隔を使ったキャンペーン案内の送付

購入履歴ベースのセグメントによる、購買傾向に合わせた販促

  • VIP向けシークレットセール
  • セット買い(併売)促進の施策
  • 休眠顧客を再稼働させるための施策

行動履歴ベースのセグメントによる、顧客行動に合わせた販促

  • クリックしたURL(閲覧ページ)でセグメント
  • かご落ち(カートからの離脱)に対するフォロー
  • サイト訪問後のフォロー
  • 閲覧ページにもとづくスコアリング

アンケート回答ベースのセグメントによる、嗜好に合わせた販促

  • アンケートで顧客の声を聞き、顧客データに紐付ける
  • 購入動機や利用用途・嗜好・生活スタイルに合わせた販促

 「これらの施策をスピーディーに実現するだけでなく、継続的に続けるためには、マーケティングオートメーションは不可欠です」と鈴村氏は語り、カスタマーリングスの管理画面を用いながら、デモを披露した。

 カスタマーリングスでは、非エンジニアでも直感的に使えるよう、顧客を条件によってフォルダで管理できる。“直近1年以内で5回以上買っている人”という優良顧客のフォルダを作って、セグメントしていく要領だ。

 カスタマーリングスから直接メールも配信できるため、“誕生日から30日前”というフォルダを作って原稿をセットしておくと、毎日自動計算をして、対象者に決まった時間に、記念日優待クーポンのついたメールを配信するといったことが自動化できる。カスタマーリングスを使って、実際にどういう企業がどんなシナリオを組んでいるのか、事例を見てみよう。

 健康食品の場合、サンプル購入後から1か月間が勝負となる。そこで、購入商品の発送日を起点として、ステップメールをセットしておく。送ったメールに対する反応によって、シナリオから離脱した顧客を除外し、別のメールを送るところまで自動化できるところがポイントだ。

 ECでよくありがちな「かご落ち」と呼ばれる現象。カートに商品を入れたにもかかわらず、途中で離脱してしまうことである。カスタマーリングスでは閲覧ページのデータも顧客情報に紐付けられるため、かご落ちした顧客に対して、数日後にかご落ち商品の在庫案内や利用可能なポイントの案内などを、狙い撃ちで送ることができるのだ。

 最後に、BtoBの事例もご紹介しよう。BtoBでは、リードナーチャリングに活用できる。単なるメルマガのA/Bテストを行うだけでなく、本文中のどのURLをクリックしたら何点、どのページを見たら何点といったように、顧客の行動履歴に応じてスコア化することが可能だ。

 また、それが顧客データにも紐付いているため、部長なら8点、課長なら3点、大企業なら10点など、カスタマーリングスの中で見込み度合いを管理できる。適切な情報を提供してコンタクトをとりながら、最適なタイミングで営業につなぐことで、検討期間の長いBtoBでも、マーケティングオートメーションは効果を発揮する。

 「シナリオを作っておけば、集計作業はすべて自動化できます。まさに、ここからが人がやるべきこと。検証・分析から次のアクションへと、思考を妨げずにやることがマーケティングオートメーションの非常に重要なポイントです」(鈴村氏)

︎すべてのレスポンスが見える化されると”アイデア”が浮かぶようになる!

 マーケティングオートメーションによって、経験で推測していたことが、リアルタイムに見える化されるようになる。これまでの経験とデータを掛け合わせることで、また新たなアイデアが浮かぶようになるという好循環が生まれる。

 「マーケティング業務におけるPDCAの中で、今までは90%くらい単純作業に割かれていたのではないでしょうか。マーケティングオートメーションによって、その時間の大半をPlanに使えるようになる。人がやるべき『アイデアを生み出すこと』に注力するために、ITの力を借りて自動化できるところは自動化するということが、これからの時代におけるマーケティングです」と語り、鈴村氏は講演を締めくくった。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/19 16:00 https://markezine.jp/article/detail/22261