国内製から考えを変えたきっかけは、他社からの推薦
「実はマリンソフトウェアを知ったきっかけは、アクセス解析ソリューションを展開している他社の方から教えていただいたことです。競合にもなりかねない製品を推薦してくれるのだから、優れたツールだろうと考えました」小川氏は語る。
限られた人数で作業を効率化するには、人間の手作業を削減する方法しかない。こうした思いから小川氏は、「できれば日本製のツール」ということを念頭に、国内のアドテク関連企業にヒアリングを重ね、最適なソリューションを探していた。そんな中、アクセス解析ツールの企業から「リスティング広告ソリューションなら、マリンソフトウェアがお勧め」だと教えられたという。
一方、数多くの海外カンファレンスに参加してきた世一氏は、マリンソフトウェアについては見知っており、「こうした運用広告ソリューションに関しては、やはり海外の方が一日の長があるためノウハウも蓄積されている」と判断。念のために類似ツールを数社ほど含め、検討を開始したという。
費用対効果を検討したところ、最もパフォーマンスが良かったのがMarin Search Enterpriseだった。マリンソフトウェアの検索広告ソリューションは、Google AdWordsを始め、国内外の主要なリスティング広告すべてに対応している。当初、「日本国内でしか展開していないYahoo!プロモーション広告に対応していないのでは」という懸念があったが、海外はもちろん、日本国内のニーズにも確実に対応していることが分かった。一度キャンペーンを登録すれば、自動で最適な運用を実行するほか、複雑な運用に関しては例外管理を適用することで、細かな要件に合わせて運用を最適化する。こうした機能と費用対効果を見て、導入を決めた。
導入直後は不安もあった
もちろん、導入に不安がなかったわけではない。世一氏は、「繰り返しになりますが、運用は属人的な作業です。なので導入するまでは、ツールでどこまで自動化できるのか分かりませんでした。そのため導入直後は、システムの挙動について、現場にかなり細かい部分までヒアリングしていました」と語る。実際、自動化ツールによっては、管理画面から目を離した途端にCPCが突然上がったり、キャンペーンが突然停止したりするという不具合もある。それを心配したわけだ。
また、効果の問題もあった。前述のとおり、リスティング広告の運用に当たっては人的作業もコストもすべてキュービックホールディングスが負っている。最適なリスティングでランディングページや広告ページまで誘導はできたとしても、実際にランディングページから商品やサービスの購入・登録が完了するとは限らない。そのため、広告主の求める最終的なコンバージョンと、広告運用プラットフォームで管理するサイトへの集客との間にズレが生じる。これについては、広告主に集客状況を連絡し、最終コンバージョンのフォローに努めた。
こうした種々の不安がありながらも、実際に稼働してみると、作業負荷はみるみる削減できた。管理画面に張り付いていなくても、リスクを自動的に排除して運用を最適化するといった効果が表れ始め、小川氏はその分をサイト改善に費やすことが可能になってきたという。