リードスコアリングとメールテストで業務を高度化
実際、ターゲティングの調整や配信のセットにかかるのは数分単位。PDCAも回しやすい。「ちょうど今は、いくつかセグメントを切り、このコンテンツであれば次に顧客がこういう動線をたどるだろう、という仮説を立てて検証しています」と髙橋氏。次の日には結果を受けて、シナリオをすぐに作り直すという手順を重ねることで、着実に成果を高めている状況だ。
メールマーケティングでのKPIは、ツール導入以前からメールの開封率とクリック率を追っている。導入後、例えばクリック率は1.8倍になるなど、ターゲティングの精度向上に伴って上昇している。「HTMLメールに切り替えられたことも大きいと思う」と福家氏。開封率を左右するメールタイトルも、ABテストを使って検証している。
さらに、リードのスコアリング機能も活用。メールを開封した人は1点、資料をダウンロードした人は5点、など重みをつけている。ただし、スコアによってアクションを自動的に決めているというよりは、営業がフォローできていないリード、つまり「機会損失がないか」をチェックするために用いているという。例えば、50点なのに誰もフォローしていない人がいたら、営業へ自動でアラートメールが送られるようになっているという。
「各リードがどういった経路をたどってきたかが分かることも、営業に役立っていますね。このシナリオのこの地点までいた人なら直接フォローしてもらおうなど、ステータスに合ったアプローチができるようになりました」(髙橋氏)
「ツールの導入前後で、営業担当者の業務プロセスほとんど変化がありません。その一方で、業務としては高度な内容が実現できています」(福家氏)
目指すは「地方創生」への貢献
本格運用から約半年。今後の展望について髙橋氏は、まだ使えていないマルケトのランディングページ作成機能などの活用に意欲を見せる。「マーケターが一人でできるので、チャレンジしたいですね。あとはWebとの連携も強化して、マルケトから当社Web サイト、そして営業まで一気通貫で流れる仕組みを構築したいと思います」(高橋氏)
福家氏は「ベストはOne to Oneですが、その前にもう少しセグメンテーションをきちんとやっていきたい」と語る。その背景には、ビズリーチが掲げる「地方創生支援」の考えがある。地方企業のニーズはさらに高まっているが、人材採用における課題や求める人材像は、地域によって大きく異なる。そこで同社では、関東と関西でのコミュニケーションを変えて最適化を図っているが、これをさらに拡大したいというのだ。きめ細かなマーケティングがオンラインで可能になれば、営業担当者が足を運びにくい北海道や沖縄など地方企業の支援もぐっとしやすくなる。
「余談ですが、求人メディアもマーケティングオートメーションも、売り手と買い手の必要な情報をマッチングさせるという点では、思想が近いと感じています。まずはBtoB事業の中での“勝ちパターン”をつかみ、いずれはBtoC領域でもOne to Oneを目指したいですね」(福家氏)