カスタマーエクスペリエンスがビジネスの主軸になる
ヒューレット・パッカード(以下、HP)が新たなビジョンを掲げた。それが「The New Style of Customer Engagement」だ。具体的には、どのようなものなのか。また、日本においても実現することは可能なのか。同社のアンドリュー・ジョイナー氏および、スニル・メノン氏に詳しい話を聞いた。
インターネットが普及し、モバイルなど様々な技術革新の結果、人々の行動は大きく変化している。購買行動やコミュニケーションなども、リアルな場からネットを介したデジタルへと置き換えられている。物理的な制約が小さくなり、ビジネスのチャンスが広がると同時に競争の激化が進み、思わぬリスクを負う可能性も生じている。
たとえば、ある人が飛行機に乗った際に機内食に問題を感じたとしよう。その人はカスタマーセンターに電話する、ブログに書く、ツイートする、その他、どのような行動を取るだろうか。そして、いったい誰がどう対応するべきなのか。顧客の行動とそれに対する応対が複雑化し、見えにくくなっている。時にその状況は予想以上のトラブルを引き起こし、ブランドイメージを失墜させることになりかねない。
ジョイナー氏は「こうした複雑化する顧客の行動に十分に対応可能なテクノロジーが、既に登場してきています。HPが掲げた新たなビジョンはまさに、新しいマルチチャネルによるエンゲージメントを可能にするものです。そのビジョンと、実現される世界をぜひとも知ってほしい」と語る。
オフラインで顧客と接する場合、声や表情といった様子から状況を推測して適切に対応することができる。しかし、ネット上のデジタルなコミュニケーションでは、顧客の断片的な情報でしか判断ができない。しかも、どのチャネルにいつアクセスするかも予測が難しい。
そこで、サイエンステクノロジーを賢く利用して情報を収集し、その人向けにカスタマイズされたコンテキストに基づく情報を提供することが重要となる。それが『カスタマーエクスペリエンス=顧客経験価値』を高めることに大きく貢献するというわけだ。
実際に先進的な企業では、カスタマーエクスペリエンスの重要性に気づき始めている。ガートナーの調査によると、89%の企業がカスタマーエクスペリエンスに基づいて競争力を強化していくという。
「私のことをわかってくれている」と感じられる体験の提供を
マーケティングテクノロジー市場の規模は、10年間で120億ドルから1,200億ドルへ、10倍の成長が予想されている。これは、従来のIT市場と比べてもはるかに大きい。
「ITの予算は、コスト削減や効率化を目的として立てられていました。一方、マーケティングテクノロジーの予算は、新たな利益を獲得するために“顧客対応に使う投資”と考えられています」(ジョイナー氏)
「カスタマーエクスペリエンス」を最大化するためには、顧客を熟知することが不可欠だ。かつてのリアルな世界なら、直接顧客と向き合ってニーズや好みを聞き出すなど「深掘り」が可能だったが、今は電話やWebなどチャネルが増え、様々なデータソースから情報を集めてコンテキスト化していくことが必要となる。また、チャネルが混在することで生じる矛盾を回避するために、どのチャネルでも的確に対応できる“仕組み”を講じることが重要なのだ。
では目指すべきカスタマーエクスペリエンスとは、どのようなものか? メノン氏は“最高の”カスタマーエクスペリエンスについて、次のように語る。
「老舗のホテルのように、顧客が『ここは私のことをわかってくれて、対応してくれている』と満足に感じられることが大切なのです。デジタルのコミュニケーションにおいても、こうした最高の体験を実現することが、企業の価値を高め、競争力となります。そして、それを実現するためには、的確に情報を収集し、活用することが必要です」(メノン氏)
ニコンが進める、カスタマーエクスペリエンス向上施策とは?
日本でもすでに、HPとタッグを組んだ、カスタマーエクスペリエンスの向上施策がはじまっています。
その例となるのが光学機器メーカー ニコンです。同社の米国ケーススタディ資料を公開中!
詳しい内容をこちらからご確認ください。