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MarkeZine Day 2015 Autumn

スマホ広告はテレビCMを超えられるか?ヤフー、LINE、クックパッドのキーマンが語る、次世代広告論

 急速に拡大し続けるスマートフォン広告市場。2014年には3,000億円を越え、前年比は162%、さらに2016年には国内インターネット広告市場の過半数に達する勢いだ(CyberZ、シード・プランニング共同調査)。同時に、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に費やされる生活者のメディア接触時間は、ますます増加していくことが予想されている。そうした変化の潮目において、これからの広告はどうあるべきか。スマートフォン時代を牽引する各メディアのキーパーソンによるパネルディスカッションをお届けする。

ネット広告市場の拡大を牽引するスマホ広告は、テレビCMを超えられるか

(左)モデレータ:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 徳力基彦氏
(中央左)パネリスト:ヤフー株式会社 赤星大偉氏
(中央右)パネリスト:株式会社クックパッド 沖本裕一郎氏
(右)パネリスト:LINE株式会社 林祐太郎氏

 冒頭、モデレーターを務めるアジャイルメディア・ネットワークの徳力氏は、「インターネット広告はテレビCMを超えられるか」と会場アンケートを実施。パラパラと手が上がるのを受け、「何を持って“超えた”と考えるかで変わるはず」と問いかけた。その問いに対し、ヤフーの赤星氏は「用途次第でインターネット広告が勝る可能性もあるが、テレビCMと一緒に活用することでリーチ補完や相乗効果が期待できる」、クックパッドの沖本氏は「ユーザーとの密着性についてはスマホの方が高い」と特定領域での優位性を語り、一方、LINEの林氏は「国や世代によっては、既に閲覧時間はテレビを超えている。広告費がそれに見合っていないが、じきにその部分も含めてテレビを超えてほしいと思う」と市場規模においてもテレビを超えることに期待を寄せた。

 「いつかテレビCMを超える」とすれば、それを実現するスマホ広告の特徴・強みとは何か。赤星氏は2015年秋に行ったヤフーの自社調査の結果を示し、「ユーザーの属性」と「ユーザーの利用シーン」をあげた。たとえば、ネットの利用者は男性比率が高いとされているが、PCとスマホではスマホの女性の割合が高い。アプリを含めた実態はさらに女性比率が高く、男性よりもやや若年層寄りであることが伺える。LINEもクックパッドも女性ユーザーが多いためか、3者とも同様の実感があるという。

 さらにユーザーの利用シーンについては、PCが昼休みに突出しているのに対し、スマートフォンは朝の通勤時、そして帰宅してから寝る直前までの比較的長い時間において閲覧されていることがわかった。夕方から夜には単独利用に加え、テレビとの併用も多い。ヤフーでは、こうしたスマホの利用形態に合わせ、時間指定で購入できる広告商品も開発・提供し、高い効果を得ているという。

スマホ広告の強みが生み出す、新たな価値

 続く林氏は、スマホ広告の強みとして「プッシュ性=リアルタイム性」をあげた。当然ながらPCは机の上においたまま、モバイルは持ち運ぶことが多いため、リアルタイムに情報を届けることができる。かつてローソンがLINEの公式アカウントで唐揚げクーポンを配布したところ、学校近くの店舗に中学生が殺到したというエピソードからも、そのリアルタイム性と反応率の高さが伺える。当時150万人に配布して6%にあたる10万人が利用したというから、メールマガジンの反応率の比ではない。林氏は「手元のLINEにプッシュで情報が届き、それにリアルタイムで反応するという“習慣”が若年層を中心に広がりつつあるのでは」と分析した。

 またLINEでは、公式アカウント上でイベントなどのリアルタイム動画を放映する「LINE LIVECAST」を提供。サントリーが開催した「ドリームマッチ」では約2時間の放映時間中、400万人の閲覧があったという。テレビの視聴率に換算すれば4~5%程度だが、録画やオンデマンドなどでリアルタイム性が低下している昨今、「今見てほしいコンテンツ」をプッシュする手法として新しい価値を創出する可能性がある。たとえば、ライブ中継もプッシュを組み合わせることで視聴率が上がるとも言われている。それこそテレビ局がLINEを使う理由の1つなのだという。

 徳力氏は、「数千万人レベルに対する放送は、ネットではコスト的に見合わないので今後もテレビの領域だが、BSやCSレベルの同時視聴数は今後ネットに置き換わる可能性がある」というドワンゴの川上氏の発言を紹介。広告を含め、リアルタイム動画とプッシュによるスマホの可能性を強調した。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/23360

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