1,000万回動画広告が視聴された効果とは
そして2つめに新生銀行グループのキャッシングサービス「ノーローン」の事例を小川氏は挙げた。ネットにおける融資ニーズに対し、リスティング広告およびアフィリエイトの最適化が求められており、特にブランド認知率の向上は重要課題であった。
しかしながら、競合がひしめき、大手も多い業界にあって、一般のマスメディア広告のみでは厳しいと判断。そこでYouTubeで顧客層にターゲティングした上で動画広告を配信を行った。キャンペーンを実施した2013年の段階では、YouTubeでの広告は先進的な取り組みで、競合も少ないことから効率的に視聴数を伸ばすことが出来た。視聴数は延べ1,000万回を超え、ある時期においては、日本国内で最もスキップ率が低い動画CMとなっていた模様だ。
また、時系列データ解析によってわかったのは、「スマートフォンでのブランドリフト、およびコンバージョンへの寄与」だったという。施策を行っていた際はYouTubeの広告がスマートフォンでのコンバージョンにアシストしているかを計測することが出来なかった。そこで、時系列データ解析を行ったところ、PCを中心に配信していたYouTubeの広告再生数がスマートフォンのコンバージョンやブランドリフトに繋がっていたことがわかったのだ。
またブランドの検索数とコンバージョン数が2倍になったことも判明。低コストでターゲット層に深くリーチすることができ、ブランド認知はもちろん売上げにも大きく貢献したことを時系列データ分析で明らかにした。
ソーシャルメディアが売上に繋がっていることを明らかに
最後に3つめの事例として挙げられたのはアパレルブランドの「NEWYORKER」。ファッションブランドにおいてソーシャルメディアの施策がマストになりつつある中、同ブランドでも、Facebookのファンページにてキャンペーン施策を実施。結果として1.3万人から3万人を超えるまでになったものの、直接的な売上げには結びついていないと考えられていた。
そこで、リアル店舗の売上げデータとともに雑誌メディアや他媒体などの時系列データを解析。その結果、Facebookで行ったキャンペーンや普段の投稿が男性顧客を中心に述べ100万人以上のユーザーにリーチできており、売上のリフトアップにも大きく寄与していることが明らかになったという。
小川氏はこれに対し、「ソーシャルメディアの施策を行う際、エンゲージメントできているのかという指標がメインになっているが、売上に寄与しているかを定量的に導き出したい企業も多いはず。そういった企業にとって時系列データ解析は魅力的な手法」と語る。
マーケティングミックスモデルで、広告費の最適化、新分野を開拓
小川氏によれば、ここまで紹介した事例は、どの企業でも施策として導入できる規模のものだという。そして「メディアミックスによる広告効果を統合アトリビューションによって可視化し、最適化を行うMMMのPDCAサイクルを回すことで“これから来そうな成長ジャンル”を感じ取ることもできる。あわせて、CPAやROIといった数値的な根拠として持つことができる」と可能性を示唆する。
「例えば、その根拠をもとにFacebookに10億円投入するといったドラスティックな判断もできる。右へ倣え的では新分野のメリットを享受できない。自社の判断するために、重要な指標であり根拠になる」(小川氏)
小川氏いわく、時系列データ解析は日本においては一部の広告主にしか浸透されておらず、馴染みがないことから理解され辛い場合も多いが非常に有益な手段だと考えている。専用ソフトウェアmarketingQEDのデモンストレーションを行い、セミナー参加者限定で、一部「無料お試し分析」を提案したのは、そうした小川氏の想いによるものであるとのこと。(現在は同社ホームページで来場者限定とせず告知)
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