統合アトリビューションで選択すべき広告チャネルを見いだす
こうした統合アトリビューションは、同様に競合他社に対しても行うことが可能だ。例えば、CMを打つ際に競合他社のCMのCPA(獲得単価)を比較したり、ブランド検索のクリック単価を分析して自社と比較したりすることができる。それによって、自社の強みや弱み、広告費を投入すべきチャネルが見えてくるという。
たとえば、前述したようなノーローンの事例で、競合が大手でTVCMの効果で負けるようであれば、ターゲットを絞ったWebの動画広告にシフトするなど、広告分野の最適化もできるだろう。また競合が起用しているCMタレントが意外にネット検索には寄与しないとなれば、そのナレッジを自社のクリエイティブに活かすことができる。競合のデータすらも自社の広告最適化に活用できるというわけだ。
小川氏は「新しい分野に挑戦することで、競合を出し抜ける」と語る。YouTubeの広告の入札単価が1~2円でも視聴数を稼げた頃に先んじて1,000万回以上プロモーション動画を配信したり、媒体化前からLINEに交渉し早期に実施したスタンプによって売上を昨年対比113%に上げたり、そうした“先物買い”による実績も、これまでは小川氏の嗅覚と熱意により採用されたものだった。しかし小川氏は、「今後、MMMや競合アトリビューションなどの根拠データを基により積極的に活用頂けるはず」と力説した。
そんな小川氏が“新たな先物買い”として、同社が提供する動画マーケティングソリューションがあるという。その説明には、小川氏からバトンを渡された同社のコミュニケーションデザイン本部 本部長である古後 淳氏が登壇した。
動画マーケティングにおける最大の差別化は「クリエイティビティ」
現在盛り上がりを見せているオンライン動画の中で、同社が手がけるのは動画の「クリエイティビティ」を高めることだ。動画の配信や運用の部分も重要だが、いずれはマーケティングオートメーションに集約され、最適化されていくという。その時、差別化できるのはクリエイティビティしかないというわけだ。
そして古後氏は現状の動画広告に対し、「見たい動画の前にTVCMをそのまま流すだけのクリエイティブが多く、スキップボタンを連打されているのが実状。“5秒で完結する動画を作ろう”という動きもあるが本質的な課題解決ではないはず。むしろブランドイメージを毀損しているのではないか」と懸念を示す。
これらの背景から電通ダイレクトフォースでは、動画編集プラットフォームを2015年11月末~12月頭にリリースする予定だ。まずクライアントのサイトにオウンドメディアを立ち上げ、そこに動画を掲載する。そしてオウンドメディア内で訪問ユーザーにブランド体験をしてもらい、ロイヤリティの醸成につなげる。
「当該の動画プラットフォームの最大の差別化ポイントは、圧倒的なクリエイティビティ」と古後氏は強調するが、その目的はブランド本来のコンセプトに立ち返り、それを表現することがブランドをより明確に訴求することにつながるという考え方だ。そして、「効率化や最適化といった単なる“Web広告の運用”ととらえずに、ブランドの世界観を伝えるメディア、ツールとして使ってほしい」と語った。
古後氏の言葉を受け、小川氏は最後に「こうしたクリエイティブは飛躍的に認知を高める力を持っている。それをも統合アトリビューションのもと視覚化して、企業のマーケティング活用に寄与していきたい」と語り、講演を結んだ。
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