YouTubeの外に広がる、生活者が動画を消費する領域
――動画コンテンツのプラットフォームといえば、YouTubeを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、FacebookなどをはじめとしたYouTubeの外にも生活者が動画を消費する領域(オープンウェブ)は広がりつつあります。
イアン氏:たしかにYouTubeはとても大きな動画プラットフォームです。日本だけでなく、「動画=YouTube」だという認識が強い国は多い。YouTubeは重要なプラットフォームであり、動画マーケティングにおいて使わない手はないでしょう。ただ、YouTubeだけで良いというわけではありません。その外にあるオープンウェブの重要性を認識すべきです。日本における動画消費量の3分の2を、すでにオープンウェブが占めており、YouTubeの外でしか動画を見ていない人たちが実際に何百、何千万人と存在しているのです。
今年の7月のコムスコアのデータでは、日本においてYouTubeとアンルーリーのネットワークの両方を訪れている人は1,800万人。そしてYouTubeを訪れず、アンルーリーのネットワークでしかリーチできない人は1,640万人ほど存在しています。その1,640万人にリーチできることが、ブランド企業がアンルーリーを活用する価値です。
――ソーシャル上で動画コンテンツを拡散させる秘訣はあるのでしょうか。
イアン氏:まずはシェアされやすいコンテンツをつくることが第一です。そして、ディストリビューションは第1週目が勝負です。日本における口コミ・シェアのピークは3日目で、シェアの総数の70%がはじめの1週間に集中しています。つまり、コンテンツがシェアされやすく、新鮮なうちに、動画を拡散させることが大事なのです。

イアン氏:日本のマーケターへの提案としては、例えば予算の60%を最初の3日間に、そして残りの10%ずつを4日目以降に配分していく。すると日本のシェアのカーブに合わせて、拡散を後押しできる最適な予算配分になるのでは。
――動画マーケティングを成功させるためには、質の良いコンテンツの作成に加えて、ディストリビューションの戦略をきちんと練ることが重要なのですね。
イアン氏:優れたコンテンツをYouTubeに置いておけば、オーガニックに拡散していくと期待している企業もいるでしょうが、そうではありません。ディストリビューションにあたり、ペイド広告を適切に活用することで、コンテンツを十分に拡散させることができるのです。
イアン氏:たとえば日本でも話題になったパンパースの「ママの1歳のバースデー」。ビュー数は300万回超、シェア数は7万超、シェア率は2.4%と成功した動画キャンペーンのひとつですが、ディストリビューションにもっと投資していれば、よりビュー数を伸ばし、拡散させることができたでしょう。